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「気密は高めれば高めるほど良いのか?」 気密を高めた時のデメリットをお話します



「気密を高めれば高めるほど良いのですか?」

ご質問がありました。

簡単なご質問ですが、様々な事が関係するので、説明が長くなる事をご理解ください。そして、ここから先は、弊社独自の見解です、必ずしも正しいとは言えない事を前提にお聞きください。

家の気密は、高めれば高めるほど、隙間が少なくなるので、冷暖房効果が高まると思いますよね。
しかし、現状は違います。理由を説明します。

現在の家には24時間換気が義務化されています。
この24時間換気は、2時間で、居室全体の空気を入れ替える設計になっています。
目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹などの症状が出るシックハウス症候群の予防対策として、2003年から全ての家に義務化された、人にも、家にも、なくてはならない仕組みです。

しかし、デメリットがあります。

それは、2時間で居室全ての空気を、ソックリ入れ替えるので、冷暖房効果が下がる事。
特に、高性能断熱材や高気密の効果を帳消しにするとも言われます。

冬季、外気温度が下がると、24時間換気は、この下がった外気を室内に取り入れます。

仮に、外気が0℃まで下がると、24時間換気は、この0℃の外気を、室内に取り込むことになります。室内に入り込んだ0℃の冷たい空気は重いので、床面に沈殿、床を覆います。

エアコンから、50℃の温風が、床めがけて吹き出しても、暖かい空気は軽いので、床に届く前に上昇。
床に届いたとしても、床に鎮座する冷気に跳ね返されて上昇。床面を暖める事は出来ません。暖かい空気と冷たい空気は、混ざり合う事なく反発します。この床に沈殿する冷気が、底冷えの正体!
この、底冷えの正体である沈殿する冷気を、Air断以外の換気システムでは、排除出来ていません。

更に、上昇する暖気は壁などを暖めながら熱を失い、20℃程に冷めて、排気口から外へと放出されます。
この一連の流れの中で、高性能断熱材や、気密性の高い施工が役に立つでしょうか?
冷気を直接吸い込む24時間換気の前では、高性能断熱材は全く意味をなしません。
更に、どれだけ高気密に作っても、24時間換気が直接、0℃の空気を吸い込んでしまっては、これも、意味をなしません。

これが、24時間換気のデメリット!
高気密高断熱住宅で、
「底冷えする」「エアコンでは温まらない」「床暖房じゃないと暖まらない」と言われるのは、24時間換気が、それらの効果を帳消しに、しているからだと、判断しています。



夏季も同様。
夏季は、熱気を、24時間換気が直接室内に吸い込みます。仮にこの時の温度が38℃だとしたら、38度の熱気が室内に入り込んできます。室内に入り込んだ38℃の空気は、冬季とは逆に、上昇して、天井付近に停滞。
上部に取り付けられたエアコンは、この38℃の熱気を吸い込んで冷却することになります。結果、冷房効率が下がり、冷房コストが上がります。

エアコンから放たれた18℃の冷気は、床面を冷却しながら、徐々に温度が上昇。
25〜26℃に温度が上昇した所で、排気口から外へと排出されます。

またしても、この一連の流れの中では、断熱材や、高気密の効果は発揮されません。
どれだけ高性能断熱材を使用しても、どれだけ気密性能を高めても、24時間換気が、2時間おきに、全ての居室の空気を入れ替えてしまうのですから!

ならば、「24時間換気を止めてしまったら?」


高気密、高断熱住宅で24時間換気を止めてしまうと、たちまち、結露が家を襲います。
夏は、壁内部と床下、冬は、小屋裏と壁!で結露が発生。
その結露の量は凄まじく、雨漏りを疑うほどの大量の水分が家内部で発生、木部を腐食し、家の耐震性を奪います。
さらには、住人への健康被害!
大量の結露により繁殖するカビや腐朽菌の影響、またシックハウスによる様々な体調不良の危険性など、
人にも家にも、無くてはならないのが、24時間換気です。


しかし、その仕組みが原因で、断熱材や気密性能の効果を失ってしまうのも事実。
そこで考えられたのが、Air断です。

吸排気経路を見直し、冷暖房効果を高めるAir断。
仕組みを説明します。
Air断は、24時間換気時の空気を、床下から取り入れます。
家の外周部、土台下のパッキン部分から外気を取り入れる事で、基礎コンクリートの熱を奪います。
冬季、家の床下中央部分には、常に12〜13℃の暖かい熱が蓄積されています。まずは、
この熱を奪う事で、0℃の空気はすぐに12〜13℃に上昇。
この、床下の熱は、恒温層と呼ばれる地盤下の蓄熱温度層が熱源。

弊社の計測では、エリアにより差はありますが、関東エリアで、夏季25〜26℃、冬季は、12〜13℃の、1日中変わらぬ熱源が形成されている事を確認しています。

そして、その熱量は絶大。
外気が、氷点下まで下がった2月でも、1日中、12〜13℃の熱を供給し続けます

更に、家中央通気壁を上昇する時に、暖房で暖められた壁の熱を奪います。1階天井を通る時にも、天井熱を奪うので、吸気口から入り込む時には24℃前後まで温度が上昇。
こちらがその証拠。外気が−4.3℃の北海道でも、空気は通気壁を上昇しながら温度が上がり、1階天井から入り込む時には24.5℃まで上昇しています。
この24.5℃の空気を、エアコンが50℃に加熱して放出。
放出された50℃の温風は、床めがけて直進し、床を暖めます。
通常、床に鎮座する冷たい空気層が無いので、直接床面を温める事が可能。
「Air断は底冷えしない」と言われるのは、これら、吸気経路の工夫が理由です。
更に、50℃でエアコンから放たれた、床や壁を温めた温風は、20℃前後まで温度を下げて、通気層へと送られます。
20℃前後の、室内では不要になった空気を、通気層に送る事で、通気層はほんのりと温まります。
「熱を捨てている」と言われますが、決して熱を捨てているわけではありません。不要になった20℃前後の熱を、通気層に送り込み、再利用。
通気層をほんのり温める事で、壁内外の温度差を軽減、結露の抑制につなげ、断熱効果も高めます。
更に、通気層に送られた空気は、6割程度が再度床下から入り込むように設計されています。室内で発生した冬季貴重な水分を含んだ空気の6割を、再度床下に取り込み、通気壁、1階天井を通して、吸気口から取り込む事で、湿気を含んだ24℃の空気として室内に入り込み、過乾燥を防止します。
証拠が、こちら。
Air断愛知モデルハウスの、2月、外が、絶対湿度3.2グラム時の、超乾燥した時期でも、室内は、加湿器など一切使用することなく絶対湿度6.7グラムを維持します。絶対湿度6.7グラムとは、4月上旬の外気の絶対湿度に相当!過乾燥とは無縁の環境を構築します。

夏季は、38℃に熱せられた空気を、床下から取り込みます。
夏季最も温度が低い床下に入り込んだ38℃の空気は、すぐに熱を奪われて、26℃前後になって室内に入り込んできます。この、温度が下がった空気を、エアコンが、冷却することで、エコな冷房を実現。
26℃前後の空気を18℃にするのと、38℃の空気を18℃に冷却するのとでは、冷房費に差が生まれます。当然、26℃の空気を18℃にする方がエコ。

入り込んだ空気は、真っ先にエアコンに吸い込まれ、18℃に冷却されて室内に放出。この時、湿気も取り除かれ、湿度と温度の低い空気が、室内に放出されます。
床や壁を冷却した空気は、温度が上昇し、換気扇で通気層に送られ、6割がもう一度床下へと入り込み、通気壁を上昇して、再度室内へと入り込みます。
この6割の空気は、エアコンが湿度を取りのぞいた、夏季、貴重な乾燥した空気。この乾燥した空気を吸気口から取り入れ、エアコンがさらに湿度と温度を低下させて室内に放出。
夏季にも関わらず、大幅に湿度が低下した環境を作り上げる事が可能。
その証拠がこちら!

Air断東京モデルハウスで、最も絶対湿度が上昇した2022年8月24日。人は絶対湿度20gを超えると、汗が乾きにくくなり、蒸し暑さを感じるようになると言われます。しかしこの日は、31.2gまで上昇した、蒸し暑さ絶頂の日。そんな日でも、室内は15.8g、初夏の湿度環境を実現。
これにより、室内温度26℃では肌寒さを感じる人がいるほど、カラッとした室内環境を作り出します。

一般住宅で、気密性を高めても、断熱性能を高めても、あまり効果が得られないのは、24時間換気で効果が帳消しにされている事が原因だと言われています。

2時間で、冷暖房した空気と外部の空気を家中丸ごと入れ替えながら、断熱効果を高め、エコな冷暖房を可能にするには、吸排気経路を根底から見直す必要がありました。その工夫が、Air断の吸排気経路です。

通常の20倍にもなる、大量の換気を行いながら、風の流れで断熱効果を高め、結露を抑制し、ほこりも、においも少ない、夏は低湿度、冬は加湿器無しでも湿度を維持、極寒北海道でもエアコンだけで暖かい環境を作りだすAir断。


「気密は高めた方が良いのか?」

Air断の場合、気密を高めれば高めるほど効果が高まります。
しかし、Air断以外の家では、どれだけ気密を高めても、24時間換気が、その効果を無駄にします。さらに、気密を高めれば高めるほど、結露リスクが高まります。
24時間換気に対する適切な対策が無ければ、断熱性能や気密性能をどれだけ高めても、効果にはつながらない事を、ご理解いただけたら幸いです。