断熱材性能テスト

断熱性能対決!湿度比較


温度対決では、断熱等級2のAir断大阪モデルハウスが、断熱等級7の家に圧勝!だったと判断しています。
次は、湿度対決。
夏季、室内湿度を低下させることができれば、体感温度は下がると言われています。
もちろん、エアコンを使えば、室内湿度は下がります。
しかし、エアコンを使わず、自然環境の中で、室内湿度を下げる方法があればBest。
各社様々な取り組みを行なっているのが現状です。
断熱等級7、断熱で、これ以上不可能レベルまで性能を高めた家も、これ以上ない湿度対策を盛り込みました。
それが、全部屋防湿ビニール張りと珪藻土使用。
下地に防湿ビニールを施工する事で、外部から入り込む湿気を遮断。
そして、内装に珪藻土を使用し、夏の湿気を吸収する設計。
超高気密C値0.1を達成し、24時間換気は、第1種の熱交換型換気扇を使用。

対する断熱等級2、Air断大阪モデルハウスは、防湿ビニール無し、湿気を吸収する材料は一切なし。
気密はC値0.38、第3種換気。

まず、湿気を吸収すると言われる、セルロースファイバーを惜しげもなく使い、内装も、湿気を吸収する、珪藻土で仕上げた断熱等級7の最強物件がこちら。
点滅しているのが、外部絶対湿度です。
対して、室内絶対湿度。
6月23日、6月24日、6月25日、6月26日、6月27日。
外部湿度が徐々に上昇すると、室内湿度も同じように上昇しているのが分かります。
平均すると、外部絶対湿度が15.3g、室内は14.2g。
1g程度の違いしかありません。
セルロースファイバーや、珪藻土の影響を示すデータは得られませんでした。

対して断熱等級2、Air断大阪モデルハウス6月23日がこちら。
点滅しているのが、外部絶対湿度、湿度の高いエリアです。
そして、点滅しているのが室内絶対湿度。
明らかに、室内湿度が低いことが分かります。
6月24日、6月25日、6月26日、6月27日。
どの日も、外の湿度よりも、室内の方が明らかに低い。
平均すると、外部絶対湿度が19.3g。
非常に湿度が高いエリアですが、室内絶対湿度は、驚異の13.9g。
外部より5.4gも低い絶対湿度環境。
これは、4月中旬の湿度に匹敵します。

どちらも、エアコンを使用していないので、エアコンによる除湿効果ではありません。

実は、Air断モデルハウスの中でも、Air断大阪モデルハウスだけが、室内湿度が外部よりも低い環境を作り出すことに成功しています。
他のモデルハウスでは、外部より低い湿度環境を作り出すことはできませんでした。

では、なぜAir断大阪モデルハウスだけが、外部より低い湿度環境を作り出しているのか?

理由はC値だと推測しています。
Air断愛知モデルハウスは、C値3.6。
Air断北海道モデルハウスは、C値3.8。
Air断東京モデルハウスは、C値3.9。
Air断大阪モデルハウスは、C値0.38。
Air断全モデルハウスの中で、最もC値が低いのがAir断大阪モデルハウスです。
このC値の低さ、つまり気密性の高さが、外部の湿気を遮断していると想定します。

しかし疑問が残ります。
C値0.1、超高気密に作られた、断熱等級7の家は、なぜ外部と同等の湿度環境なのか?

こちらをご覧ください!
こちらは、密閉したビニール袋の中に、セルロースファイバーとシリカゲルと温湿度センサーを入れて、長期間撮影した動画です。
セルロースファイバー内部の湿度は、全く変化しません。
つまり、セルロースファイバーが、湿気を吸収しているわけではない!ということ。

対して、湿気を吸収するシリカゲルを入れたビニール袋は、みるみる湿度が低下。
これは、シリカゲルが湿気を吸収している!ということ。
しかし、数日経過すると、みるみる上昇。
最終的に、どのビニール袋も同じ湿度状態になりました。
完全密閉したビニール袋でも、湿気は通り抜けている!ということ。
そして、湿気を吸収する材料でも、吸収する量に限界があり、それを超えると湿度が上昇する!ということ。

だから、C値0.1でも、室内湿度は外部と同じように上昇していたと判断できます。

ではなぜ、Air断大阪モデルハウスだけが、湿度が低いのか?
ここから先は推測になります。
こちらの模型動画をご覧ください。
Air断が動き出すと、床下から空気を吸い込み、1階、2階へ空気を吸い上げて、最終的に天井から通気層へ排出している模型動画です。
この時、家外周部の壁部分では、この様に空気が勢いよく流れています。
この空気の流れが、外部から入り込む湿気を遮断していると推測しています。

Air断の空気の対流が湿気の侵入を阻止。
そして、Air断大阪モデルハウスの超高気密性能が、湿気の侵入を阻止。
これらの効果から、外部よりも低い室内湿度環境を構築できたと判断しています。

もちろん、推測の部分が含まれるので、必ずしも正しいとは言い切れません。
今夏、Air断大阪モデルハウスのデータを精査し、推測が正しいかを解析してご報告させていただく所存です。

これらの情報が、皆様の家づくりの参考になれば幸いです。

フェノールフォームとジェル断の冷却対決!



断熱材の中で、最も熱伝導率が低い、フェノールフォームと
身近な物の中で、最も温まりにくく冷めにくい、比熱ダントツ、ジェル断との冷却対決。

それぞれ同じ大きさの中に、温度センサーを設置。
常温から、冷凍庫に投入し、氷点下までの時間を計測しました。

熱伝導率0.02フェノールフォームは、59分で氷点下に到達。
熱伝導率0.069、最も比熱が高いジェル断が氷点下に到達したのは、なんと、37時間20分後…。

一般的な断熱材は、“熱伝導率”を焦点にしています。
対して、“比熱”を焦点にしたのがジェル断。
フェノールフォームの容積比熱は43、対するジェル断の容積比熱は4186!まさに桁違い。
こちらは、様々な断熱材を2014年から計測中の実験棟データ。
その中でひと際異次元の温度推移を見せるのがジェル断…

すでに、Air断東京モデル、Air断大阪モデルの天井に施工して1年!
今のところ、耐久性に不安は見られません。
詳しくは、取り扱い工務店まで!

実験棟で、なにを計測してる?



実験棟で、なにを計測してる?

愛知実験棟では、2014年から、様々な断熱材を箱に入れて、それぞれ温湿度センサーを取り付け、24時間計測しています。

グラスウール、セルロースファイバー、ロックウール、スタイロフォーム、フェノールフォーム、キューワンボード、ありとあらゆる断熱材を、同じ条件下で計測。
30分毎に温湿度変化を記録して、性能を解析。
年度別にデータを精査して、経年変化も解析しています。

更には、地盤下にセンサーを埋め込み、1mから5mまで、土中温度の計測も行なっています。

遮熱断熱材が良い!と聞いたら、それを追加!

真空断熱ボトルの断熱性が良いと聞いたら、それを追加。

計測し、解析する事で、浮き彫りになる事実を、取引工務店に報告。
いい家を作る為のお手伝いになれば!と考えています。

冷却実験だけでは性能は分からないだろ!



「冷却実験だけでは性能は分からないだろう、加熱実験もしないと!」

とご意見をいただいたので、投光器による放射熱実験の動画も公開します。
保冷剤による冷却実験は、熱の伝わり方、伝導、対流、放射のうち、伝導実験にあたります。
断熱材は壁内部に置かれるので、対流は無視できるとして、残りの放射による熱の伝わり方が、今回の投光器による放射熱実験だと判断出来ます。

各断熱材を、200o×200o×100oの段ボール箱に入れて、上から投光器による放射熱で加熱する実験を行ないました。(冷却実験と同じ段ボールです)
放射後、断熱材内部の温度が、どのように変化するのか?を動画で記録。

まずこちらの動画は、グラスウール10kと、高性能グラスウール32kの比較です。
左側がグラスウール10k、右側が高性能グラスウール32kです。
加熱開始から3分後にグラスウール10kが30℃を突破。9分後にグラスウール32kが30℃を突破。
12分後、グラスウール10kが40℃を突破、20分後には50℃を突破しました。
32分後にグラスウール32kが40℃を突破、2時間20分後に50℃を突破しました。
5時間加熱した時点で、グラスウール10kは最高60.9℃まで上昇。グラスウール32kは、最高51.6℃まで上昇しました。

次の動画は、左がロックウール、右がセルロースファイバーです。
右側セルロースファイバーが、15分後に30℃を突破。
ほぼ同タイムの16分後に、左側ロックウールが30℃を突破。
35分後に、左側ロックウールが40℃を突破。
対するセルロースファイバーは、1時間39分後に40℃を突破。
5時間加熱した時点で、ロックウールは最高48.3℃まで上昇。
セルロースファイバーは最高45.2℃まで上昇。
両方とも、50℃を超えることはありませんでした。

次の動画は、左がスタイロフォーム、右がT型断熱材です。
まずスタイロフォームが12分後に30℃を突破しました。
同じくスタイロフォームが25分後に40℃を突破しました。
そして同じくスタイロフォームが49分後に50℃を突破しました。
対するT型断熱材は、1時間後に30℃を突破。そして2時間26分後に40℃を突破。
5時間加熱した時点で、スタイロフォームは最高55.5℃まで上昇。
T型断熱材は47.1℃まで上昇。50℃を超えることはありませんでした。

最後が、左側フェノールフォーム。
熱伝導率最低の、最も高性能と言われる部類の断熱材。
そして右側が、U型断熱材です。
フェノールフォームが23分後に30℃を突破。
44分後に40℃を突破。
1時間33分後に50℃を突破。
対するU型断熱材は、3時間10分後に30℃を突破。
5時間加熱した時点で、フェノールフォームは最高54.3℃まで上昇。
最も高性能と言われる断熱材ですが、放射に対しては案外普通・・・
U型断熱材は、最高34.1℃まで上昇。
35℃を超えることはありませんでした。

まとめます。
グラスウール10kは、1時間後に57.6℃まで上昇し、最大60.9℃まで上昇しました。
グラスウール32kは、1時間後に47℃まで上昇、最大51.7℃まで上昇しました。
ロックウールは、1時間後に46℃まで上昇、最大48.4℃まで上昇しました。
セルロースファイバーは、1時間後に37.6℃まで上昇、最大45.1℃まで上昇しました。
スタイロフォームは、1時間後に52℃まで上昇、最大55.4℃まで上昇しました。
T型断熱材は、1時間後に29.8℃まで上昇、最大47.1℃まで上昇しました。
断熱材最高峰、フェノールフォームは、1時間後に45℃まで上昇。最大54.2℃まで上昇しました。
そして、U型断熱材は、1時間後に24.6℃、最大34℃までしか上昇しませんでした。

今回の実験は、夏太陽光の影響を想定した実験です。
冬を想定した冷却実験でも、今回の投光器による加熱実験でも、T型U型断熱材は、他の断熱材を大きく引き離しました。

熱伝導率だけの値で比較すると、
1.フェノールフォーム
2.スタイロフォーム
3.グラスウール32k
4.セルロースファイバー
5.ロックウール
6.グラスウール10k
7.U型断熱材(けた違いに悪い)
8.T型断熱材(けた違いに悪い)
となります。

しかし、弊社が実験した測定値で並び替えると、
1.U型断熱材(断トツ)
2.T型断熱材
3.セルロースファイバー(以下ほぼ横ばい)
4.ロックウール
5.グラスウール32k
6.フェノールフォーム
7.スタイロフォーム
8.グラスウール10k(断トツに悪い)
となります。

弊社の実験が正しいとは限りません。
しかし、様々な想定を行ない、冷却実験、放射熱実験、そして、実際のモデルハウスデータを解析する限り、弊社実験データは正しいと判断しています。

ちなみに、東京モデルハウス無断熱材の家、小屋裏にU型断熱材を施工した後の今年5月25日データと同じ外気温度の、断熱材が無い、昨年5月30日の2階温度データがこちらです。
今年5月25日は、外気温度が30℃に達する中、2階温度は、25℃を超えていません。
対するU型断熱材を入れる前の昨年は、27.7℃まで上昇。
小屋裏にU型断熱材を入れただけで、これだけの効果をもたらすので、床下、壁、小屋裏に施工する九州モデルハウスでは、さらに大きな効果が得られるのでは?と、スタッフ一同期待しています。

これらの情報がこれから家を建てる皆様のお役に立てれば幸いです。

断熱材の遮音性について



「セルロースファイバーは、音が完全に消えると聞きましたが?」
「高性能グラスウールは、防音性が高いと聞きましたが?」

遮音性についてご質問がありました。
他のYouTubeで、セルロースファイバーを使用した騒音実験動画を確認しました。
確かに、「無音」になってますよね。

これを受け、弊社も騒音実験を行ないました。
各断熱材を段ボール箱に入れて、動画のように配置。6面全てが同じ断熱材で覆われています。

内部の空洞に、防犯センサーを入れて、同じ断熱材を入れた段ボールで蓋をします。
この時の騒音計の変化を記録しました。

まずは、グラスウール10kがこちら。
騒音計は73〜76㏈まで低下。

こちらは、グラスウール32k。
騒音計は65〜70㏈まで低下。

こちらは、スタイロフォーム。
騒音計は67〜70㏈まで低下。

こちらは、フェノールフォーム。
騒音計は71〜74㏈まで低下。

こちらは、セルロースファイバー。
騒音計は58〜62㏈まで低下。

最後に、U型断熱材。
騒音計は58〜62㏈まで低下。

セルロースファイバー、そしてU型断熱材が最も静かになりましたが、音が消えているわけではありません。

高性能グラスウールは、スタイロフォームと同等!それほど優秀とは言えない。

他の断熱材では、70〜74db程度。どれも似たり寄ったりだと感じました。

さらに、家の場合、サッシや開口部、吸気口などからの“音漏れ”もあるので、完全に音が消えるという事は無いと思います。
セルロースファイバーを施工した家の最終検査を行なった検査員も、決して無音では無かったと言います。

ただし、完全防音室を作りたい時や、1デシベルでも下げたい時にはセルロースファイバーは有効だと思います。


これらの情報がこれから家を建てる皆様のお役に立てれば幸いです。

「真空断熱材なら効果あるんじゃ?」



「真空断熱材なら効果あるんじゃ?」

「真空断熱材でも熱は伝わります・・・」

「真空断熱材をご存知ですか?
真空断熱ボトル”サーモス”は、24時間経っても冷めないそうです。真空断熱材を使えば、エアコンなど使用しなくても快適な家が出来るのではないでしょうか?」

ご質問がありました。
真空断熱材、存じ上げております。
高性能断熱材の熱伝導率が、0.02w/mkに対して、0.002w/mk
一桁違う、まさにけた違いの断熱性能を持つ断熱材です。

ただし、真空部分の熱伝導率です。
周辺、そして、表面からは熱が伝わります。
(真空断熱材の部分は熱を通さないが、それを包み込むステンレス部分は熱を素早く通す。これをCGで表現。)

真空断熱材”サーモス”も、真空でない部分から熱は伝わります。
こちらが、真空断熱材サーモスを、日の当たる場所に放置して、内部の温度変化を測定したグラフです。
(真空断熱材サーモスがベランダに置かれている状態を撮影して表示、グラフも表示)
薄茶色が真空断熱材サーモス内部の温度、青色が外気温度です。

8月25日がこちら・・・
外気温度の上下に連動して、真空断熱材サーモス内部温度も上下しています。決して真空断熱材サーモス内部温度が、外気温度の影響を受けていないわけではありません。ほぼ、リアルタイムに外気温度の影響を受けています。
8月26日がこちら・・・
8月27日は、最高温度が56.2℃を記録
そして翌日8月28日は最高温度57℃を達成。
真空断熱材と言えども、熱は伝わる事が見て取れると思います。

「24時間経ってもお湯が冷めない」

水は、身近な物質の中で最も熱しにくく冷めにくい物質です。
それが気密性の高い、真空断熱材のポット目一杯に入っていたら、熱が逃げにくいので、さらに冷めにくくなります。
家の場合、家の中にお湯をたっぷり入れるわけではありませんよね。
家の中にあるのは、空気です。
そして、空気は、身近な物質の中で最も熱しやすく冷めやすい物質です。

サーモスの様な、気密性能が極端に高いポットでも、内部が空気だったら、外気の影響を受けて温度が上下するのですから、気密性能が悪い家の場合、どれだけ高性能な真空断熱材を使用しても、効果は無いと判断します。

真空断熱材は、真空の部分は熱を通すことはありません。
しかし、それを取り囲む金属が熱を通します。
真空断熱材、蓄熱断熱材、高性能断熱材、どれも、素材で熱を遮断する仕組みですが、熱が消えてなくなるワケではなく、結局、熱は伝わります。
素材ではなく、対流で熱が流れる方向を変えるAir断が、現時点では最も断熱性能が高いと判断しています。