床下の熱

冬期に屋根で暖まった空気を床下で温めて、その熱を夜間活用することはできますか?



「冬、屋根で暖まった空気を、床下に送り込んで、床下を温め、その熱を夜間活用する仕組みをご存じですか?」
「その仕組みを取り入れると、さらに良くなるのでは?」
とご質問を受けました。

解説します。

屋根で暖まった空気を、床下に下げることが困難だと思います。
暖まった空気は、浮力により上昇こそしますが、下がることはありません。
下がる頃には、温度を失っていると思います。

更に、空気で、床下のコンクリートを温めるには、とても大きな熱量が必要になります。
屋根で温めた空気程度で、床下コンクリートが温まるとは考えられません。

聞いたことはありますが、理論的に間違っていると思います。

更に、弊社が計測した冬季の屋根裏温度は、過去10年間のデータを検証しても、30℃を超えることはほとんどありません。
2時間程度、最大でも25℃程度までしか上昇しません。

この熱量で、床下コンクリートを温めることなどできないと思います。
あくまでも、弊社計測データに基づく見解です。
参考になれば幸いです。

「なぜ床下に熱があるんですか?」



「なぜ床下に熱があるんですか?」
問い合わせがありました。

説明します。
まず、地盤面下5メートル付近には、一年中一定の、恒温層と呼ばれる、蓄熱温度層が存在していると言われています。
そこで、
地盤面下5メートルに温度センサーを埋め込んで、24時間365日計測した結果がこちらです。
確かに、真冬も、真夏も、20℃前後の、常に一定した温度が蓄えられていました。
しかし、地上に近づくにつれ、その温度は、地表温度の影響を受けるようになります。
要するに、地盤面下5メートルに存在する、20℃の熱は、活用できない!という事。
地上に移動する間に、温度が失われてしまうのが原因。
道路や駐車場の消雪に使えないか?など、様々な取り組みがされたようですが、
地盤面下5メートルの熱は活用出来ない事が知られています。
しかし、家が建った場合、地盤面下5メートルに存在していた蓄熱温度層が、上昇している事が、計測から分かりました。
家が断熱材の役目を果たし、蓄熱温度層自体が上昇。
家の床下中央部分には、夏25.6℃、冬13.4℃の熱源が蓄えられている事が確かめられました。
もちろん地域差があります。
こちらはAir断北海道モデルハウス、基礎中央部分の1.5メートル下に埋め込んだセンサー値です。
1月25日、外気温度は-18℃まで下がった日でも、家中央1.5メートル下の地盤には5.6℃の熱がある事を確認。
外気との温度差23.6℃にもなります。

こちらは、Air断東京モデルハウス、外気が-2.5℃まで下がった2023年1月25日、家中央1.5メートル下では、
16.1℃の熱が存在。外気との温度差は18.6℃にもなります。
さらにこちら、2022年8月9日、外気が45℃まで上昇した酷暑日、Air断東京モデルハウス、
中央1.5メートル下には21.8℃のヒンヤリした熱が存在していることを確認。外気との温度差23.2℃にもなります。

この、夏涼しく、冬暖かい熱が、家が建った後の床下に形成される事を、確認しています。
そして、この熱量は膨大!Air断がどれだけ、真夏に暑い空気を、真冬に冷たい空気を床下に送り込んでも、
1.5メートル下に蓄積された熱源の温度は、変化する事はありませんでした。

基礎断熱など不要、床下に蓄積された熱源こそ、有効活用すべき熱源だと私たちは判断しています。

床下に熱がある理由、お判りいただけたでしょうか?

少しでもお役に立てれば幸いです。

恒温層温度データ


床下のさらに下5メートル〜には恒温層と呼ばれる「低温温度地層」が存在していると言われます。

20度〜22度の温度層で、地盤下5メートル〜200メートルの間が「低温温度地層」と呼ばれているそうです。
この温度は、マグマなどの熱ではなく、太陽光の熱が蓄積された「蓄熱温度地層」だそうです。

この恒温層の熱を、そのまま取り出すことは、現時点では不可能と言われています。
(取り出す段階で温度が奪われる為)

ベタ基礎下の地盤は、外気の影響を受けにくく、
「冬温度が下がりにくく、温度の高い恒温層から温度を吸収しやすい」
「夏温度が上がりにくく、温度の低い恒温層に熱を逃がしやすい。」
恒温層と上手に熱交換する事が可能で、
真冬でも10〜14度
真夏でも24〜27度
で安定します。

実際の温度データは、こちらを参照してください。
2018年2月20日  土中400p温度 
をクリックすると、外気温0度でも、土中4メートルには17度ある事が分かります。
また
23018年3月2日からは
土中500p温度が追加されています。
土中500pの温度は、17.5度。0.5度ほど400pよりも高くなっていました。

(現在この温度センサーは、地盤下の水分で壊れてデータは見れません。
夏に向けて防水型の温度センサーと取り換える予定です)

夏涼しく冬暖かいベタ基礎の熱を上手に活用する事が、省エネに直結すると考えています。

床下温度平均


床下温度年間推移


床下の温度と外気温の推移を動画にしました。
7月1日から1日ずつ変化します。
各月末に、床下温度の平均が表示されます。

7月の床下平均温度は23.63度
8月は26.82度

1月は15.72度
2月は14.95度
が平均温度です。

これは2016年7月〜2017年2月までの温度推移です。

床下は、夏温度が低く、冬温度が高い事が分かります。

(ベタ基礎150mmベース)
布基礎の床下温度平均は、夏は3度ほど高く、冬は6度ほど低いデータとなっています。
基礎断熱の床下温度も、夏3度ほど高く、冬は5度ほど低いデータになっています。

床下の熱はどこから?


「床下は冷たい場所」
ではありませんでした。
床下は、
「夏一番涼しく、冬一番暖かい場所」
でした。

ベタ基礎の下の地盤のさらに下、5メートル以下には、平均20度をキープする「恒温層」と呼ばれる低温温度層があると言われています。

冬のベタ基礎は、この熱を吸収しています。
夏は逆に熱を放出しています。

この熱交換のおかげで、冬は暖かく、夏は涼しい温度がキープされています。

「冬暖かい」
と言っても、10度〜14度ほどしかありません。
決して暖かい温度ではありませんが、外気より確実に暖かい!
0度の外気を直接温めるのではなく、床下を通して吸い上げた外気を温める事で、エコな暖房が可能です。
夏は逆に、40度近い外気を冷やすのではなく、床下を通して26度前後に冷やされた空気を活用する事で、エコな冷房につなげます。