夏型結露

断熱材は熱を断っていない・・・結露のメカニズム



一般的木造住宅の熱の伝わり方、そして結露発生メカニズムを解説します。

夏の場合、直射日光が外壁を温め、通気層、構造用合板、そして断熱材を温めて室内に熱が伝わります。
この時断熱材は、熱を断っているわけではありません。
熱の伝わりを遅らせる効果があるだけです。実測すると10分から15分程度遅れて伝わる事を確認しています。
つまり、断熱材でも「遅れながら熱は伝わる!」と言うことです。

この状態で室内を冷房すると、真っ先に室内の壁が冷却されます。
壁内部では、冷たい空気と暖かい空気がぶつかり合って梅雨前線のような状況が生まれ、室内側の壁面で結露が発生します。
これが「夏型結露」です。

冬の場合は、外壁が冷気によって冷却されます。
冷気は、通気層から構造用合板、そして断熱材を冷却して室内を冷却し始めます。
この状態で室内を暖房すると、室内側の壁が温められ、壁内部では、暖かい空気と冷たい空気がぶつかり合って梅雨前線のような状態が発生し、室外側に近い部分で結露が発生します。
これが冬型結露です。

それではAir断住宅の場合を解説します。
Air断住宅の場合、夏、外気温度が上昇すると、ファンが自動的に動き始め通気層に対流を起こします。
この通気層の対流が、熱の伝わりを遮断します。同時に、室内の空気が通気層を対流することで、壁内部の温度差を抑え、一般住宅で発生する梅雨前線のような状態を軽減します。これが結露発生を大幅に軽減し、同時に断熱性も高めます。

冬も同様で、外部の温度が低くなるとファンが動き始めます。
通気層から伝わる冷気を、通気層の対流で遮断。断熱性能を大幅に高め、結露発生リスクも大幅に軽減しています。

Air断住宅では、最低4箇所の温湿度センサー、そして8箇所の雨漏り結露センサーが、人では感知出来ない結露リスクを常に監視しています。
そして、必要時にファンを動かす事で、断熱性能を高め、結露を抑え、家の耐久性をも高めています。

※弊社の実験や想定が、必ずしも正しいとは限りません。ご意見や要望がありましたら、メールにてお問い合わせいただければ幸いです。

部屋干しによるカビについて

湿度の高い沿岸部では、室内に結露によるカビが発生することがあります。
6月〜9月の間は注意が必要です。
Air断で換気しても、湿気を吸い込みやすい家具や衣類などはカビが発生する可能性があります。
(部屋干しだけの沿岸部住宅で、家具の裏にカビを確認しました)

夏型結露

夏型結露

床下は夏涼しく、冬暖かい場所!です。
夏の床下は、外よりも温度が低い。
そして、結露は必ず温度の低い場所で発生します。

つまり、夏の床下は「結露が自動発生する危険な場所」です。
住宅検査 ホームリサーチ
夏型結露


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夏型結露


条件がそろえば、プールのように水が溜まります。
気密性を高めた”基礎断熱”では、このような状態が数か月続くこともあるようです。
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夏型結露


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夏型結露


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夏型結露


この状態が続くと、木部が水分を吸収して腐食し始めます。
木部が腐食し始めると、臭いを発し、その匂いを嗅ぎ分けて”シロアリ”がやってくると言われます。

夏型結露が始まる5月後半は、シロアリの活動時期と重なり、結露の発生がシロアリ被害へとつながる恐れがあります。

Air断住宅では、家中に取り付けたセンサーで結露の危険性を察知。
床下のファンを動かして、結露を抑制しています。

夏型結露

夏型結露

エアコンからは8度前後の冷風が吹き出しています。
(機種によりますが、一般的に8度前後)
この冷風が直接外部に面する壁に直撃すると、壁面が冷たくなります。
その裏側では、外から暖かい空気が入り込んでいます。
この暖かい空気が、エアコンで冷やされた壁に衝突して結露!
壁内部で、エアコンが動いている間中ひたすら壁内で結露します。
これが典型的な夏型結露!です。

壁内部で発生した結露は、数週間乾燥する事なくとどまります。
木部の腐食やカビにつながります。

エアコンの設置場所に注意が必要です。

床下結露発生時の湿度

湿度が高いから結露する?

グラフは、昨年7月、床下結露が発生した住宅の床下湿度です。
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床下結露発生時の湿度


湿度60%前後!
決して高いとは言えません。
しかし、床下一面で結露水が発生していました。

結露は、「湿度が高いから!」
ではなく、湿度の高い周辺の空気と接触する事で発生します。
グラフは、同じ日の室外湿度。
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床下結露発生時の湿度


湿度99%まで上昇している時間が9時間以上。

外部の湿度が、床下に入り込んで結露したと考えられます。

この結露を防ぐには3つ
1.湿度を下げる。(外部湿度を下げるのはホボ不可能)
2.温度差を無くす。(基礎コンクリートは、夏一番冷たい場所。コンクリートの温度を上げれば結露はしない。しかしこれもホボ不可能)
3.風で吹き飛ばす。

3番の「風で吹き飛ばす」が最も安価で効果的です。
Air断では、各所に取り付けられたセンサー値を読み取り、「結露リスクが高い」と判断すると、床下のファンを作動させ、結露を抑制しています。

追伸:
この物件は築3年となり、「床下の湿度も低下した」事を確認して、床下ファンの動作を「動きにくい」設定に変更していました。
オーナー自ら”設定変更”を行ったようです。
「床下湿度が下がったのだから、ファンを動かしてももったいない」
と判断し、床下ファンの動きを「ほぼ動かない」設定に変更。

その直後”異臭”に気付き、床下点検を行うと大量の結露水が溜まっていました。
結露水による”カビ臭”のようなにおいが、室内に漂っていました。(Air断は床下の空気を吸い上げるので、床下に異変が起きれば臭いに現れます。)

ファンを通常運転に切り替えると、3日ほどで床下結露水は消え、同時に”カビ臭”も消えました。
しかし、”カビ”は消えていないので、消毒や清掃料金が必要になります。

一般住宅の場合、結露が発生しても気付くことはありません。
また、結露水を吹き飛ばすファンも付けられていません。
注意が必要だと思います。