断熱材性能テスト

魔法瓶実験を追加!

「魔法瓶実験データが無いけど!」とご指摘を頂きました。
一定期間測定を終えたので、取りやめていましたが、アンコールを受け、
7月25日から再開しています。
今回は魔法瓶ではなく、写真の電気ポットで測定しています。
(電源は入っていません)
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魔法瓶実験を追加!


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魔法瓶実験を追加!


7月26日のデータでは、外気温度38℃時に、48℃まで上昇しています。
外気温度の低下と共に、電気ポット内部温度も急低下。
「断熱性能が高いポット」と書かれていましたが、以前の魔法瓶同様
あまり変化はありません。
1年間測定し、新型電気ポットや、高性能魔法瓶が出たら、交換して測定を続ける予定です。

「なぜ外気温度よりも、電気ポット内部温度が上昇するんだ?」
太陽光が直接照り付ける事で、電気ポット外側が50℃近くまで上昇します。
この太陽光の影響を受けて、内部温度も上昇していると推測しています。

アルミ遮熱断熱材実験

「以前のアルミ遮熱断熱材実験は、住宅で使用してる遮熱断熱材ではない!実験がオカシイ」
とご指摘を受けましたので、新たに取り寄せて、7月27日より計測を開始しました。
動画のように、発泡クーラーボックス内に温度センサーを入れ、アルミ遮熱断熱材で2重に覆いました。
部分的に5重になっている部分もあります。


さらにこの発泡クーラーボックスを、クーラーボックスに入れて東面ベランダに放置。

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アルミ遮熱材断熱材が入ったクーラーボックス


超高気密、そして超高断熱、さらにアルミ遮熱断熱材による熱の反射まで行なっている、特製クーラーボックスをベランダに配置。
こちらがその特製クーラーボックス内部温度データです。
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7月28日アルミ遮熱断熱材温度データ


前回の実験データとほとんど変わっていません。
外気温度の上昇と同時に、内部温度も上昇し、外気温度の下降と同時に、内部温度も下降・・・。


断熱気密性の高いクーラーボックス内部に、さらにアルミ遮熱断熱材でグルグル巻きにした発泡クーラーボックス内部の温度センサーが、太陽光や外部温度の影響を受けて、ほぼ同時に温度が急上昇したり、下がったりしています。

圧倒的な気密性能、そして断熱性能を持ったクーラーボックスでも、内部温度は外気の影響を受けて上下する事が分かると思います。

アルミ遮熱断熱材を、家で利用しても、あまり意味が無いと理解できるのではないでしょうか?
しかも、家の場合、24時間換気の義務化により、家内部の空気を入れ替える必要があるので、特製クーラーボックスの様な「高気密」状態を作る事は出来ません。


アルミ遮熱材は、放射熱を反射する能力は高いと思いますが、対流熱に関しては全く反射していないそうです。
さらに、放射熱を反射しても、跳ね返って暖められた部分から対流熱となって伝わってくるので、反射してもしなくても、同じ事!だと言われます。
(反射した光が、2度と帰ってくることが無い宇宙空間であれば、効果は高いです)

「なぜ外気温度よりも、アルミ遮熱材内部温度の方が高い?」
これは、太陽光がクーラーボックスを直接温め、その温度がクーラーボックス内部に伝わる為です。
外気温度は、地盤面から2mの高さの空気の温度を計測しています。太陽光の影響を受けにくい場所の温度なので、クーラーボックス内部の方が温度は高くなります。


ご理解いただければ幸いです。

実際の家での断熱材比較テスト

どの家が、最も断熱効果が高いのか?

「断熱材150ミリ・・・愛知モデル」Air断初期version
        VS
「断熱材100ミリ・・・北海道モデル」Air断寒冷地version
        VS
「断熱材 0 ミリ・・・東京モデル」Air断寒冷地version2 

浴室内部温度比較(暖房の影響を受けにくい場所での比較)
「愛知モデル  浴室内部温度11℃」  (外気温度10℃時)
「北海道モデル 浴室内部温度20.4℃」 (外気温度-1.7℃時)
「東京モデル  浴室内部温度20.3℃ 」 (外気温度8℃時)
※浴室ドアは全て開放状態です。

断熱材が最も厚い愛知モデルが、最も温度が低い結果となりました。
理由は、「浴室部分の対流の有無」だと判断しています。
愛知モデルは、”浴室だけが冷える”状態でした。これは、浴室2面の壁にファンを取り付けていない事が原因では?と想定していました。
そこで、北海道、東京モデルでは、浴室2面の壁に、ファンを設置。
結果は上記のように、外気温度がマイナスでも、20℃前後をキープする北海道。
断熱材が無くても、20℃前後をキープする東京。となりました。
これらの結果から、断熱材ではなく、対流が、高い断熱効果を発揮していると判断しています。
ちなみに、エアコン暖房から浴室までの距離は、愛知モデルが3メートルで最も近く、次に東京モデルの7メートル、最後が北海道モデルの9メートルです。

今後も検証を進め、ご報告させていただきます。

セルロースファイバーについて

「他の断熱材実験では、セルロースファイバーの温度が上昇しない結果が出ていますが、この結果をどう説明しますか?」

とご指摘がありました。
そして、指摘のあった他社の”YouTube” 実験動画を確認しました。
図のような実験ですよね。

10分後に
1.グラスウール下の温度センサーは10度近く上昇
2.フェノールフォーム下の温度センサーは5度上昇
3.セルロースファイバー下の温度センサーは上昇無し。
セルロースファイバーの断熱性能が高い実験結果となっている動画だと思います。
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セルロースファイバーについて


この実験では、投光器の熱源を利用しています。
投光器の場合と、実際の太陽光では、紫外線や赤外線の量が全く違います。

また、セルロースファイバーは、光を遮断しやすいので、10分程度では熱の影響を受けにくいだけだと判断します。
さらにグラスウールは、真ん中に位置するので、両サイドに熱が逃げにくく、温度が上がりやすいと考えます。

それぞれの試験体を離して実験しないと、正確な測定にはなりません。
また、実際の家では、投光器のような放射光ではなく、対流で熱が伝わります。

実際の家では、太陽光で外壁が温められ、外壁に接触した空気が断熱材を暖めます。
指摘の実験は、家が置かれる環境下ではなく、”投光器”の光に対しての、断熱性能を比較した実験だと思います。
(ただ、やはり真ん中に配置されたグラスウールは、熱の逃げ場が無いので、平等な実験とは言いにくい気がします)

家の置かれる環境下での、断熱材の実験を行う場合、10分程度の実験ではなく、最低でも24時間以上続け、温度上昇と下降の記録を取る必要があると思います。

弊社が行っている室内実験は、家が置かれる環境での実験です。
グラフは、
青色 セルロースファイバー
赤色 グラスウール
灰色 スタイロフォーム
の8時間温度変化です。
熱源は投光器ではなく、専用温風ヒーターを使用しています。
1時間後からは、どの断熱材内部でも似たような温度が記録されています。
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セルロースファイバーについて


さらに、各断熱材の経年変化を測定するために、5年越しの実験を継続中です
実物実験では、実際の家にセンサーを取り付けてデータを記録しています。

ご指摘の実験と弊社の実験とでは、本質が違うと考えています。

断熱実験-発泡スチロールの場合

動画は発泡スチロールです。
大きさは300mm×400mm
厚み30ミリを6枚重ねて、ドライヤー側から100ミリの位置に温度センサーを取り付けてあります。
(ドライヤーの熱風は「冬の冷気」と同じ”伝導”と”対流”で伝わると言われます。)

ドライヤーからは温風が出ています。
発泡スチロール表面温度は70度前後。
30分後には25度から37度まで上昇。(12度上昇)
1時間後には40.2度まで上昇(15.2度上昇)
2時間後では41.7度まで上昇しました。

断熱性能実験-スタイロフォームの場合

こちらはスタイロフォーム断熱材
熱伝導率0.036の商品です。
こちらもドライヤー側から100ミリの位置に温度センサーを取り付けてあります。
こちらは30分後には50.9度まで上昇(23度上昇)
1時間後には57.7度まで上昇
2時間後には最大60度まで上昇しました。
実験棟と同じく、伝導や対流に対する性能が低い事がわかります。