高気密の欠点

C値、Q値に関して

「Air断住宅の場合、どれくらいのC値、Q値を基準としてますか?」

ご質問がありました。
弊社ではC値、Q値を考慮していません。

以前Q値1.0
C値1以下の超高気密高断熱住宅で発生したトラブルをご紹介します。

高齢のご夫妻で、「寒さが苦手だから・・・」と言って、超高気密高断熱住宅を選ばれました。
エリアは福岡県です。
高性能断熱材で家全体を覆い、サッシは木製、ガラスは3層。
文字通り超高気密高断熱住宅です。
しかし、「寒くてキッチンに立てない、床暖房入れてほしい」と奥様からクレーム。
「そんなはずはありません、エアコン暖房だけで暖かいはずです」
とメーカーは反応。
「私は特別寒がりだから、とにかく床暖房入れてください、寒すぎて本当にキッチンに立てないんです・・・」
メーカーが測定すると、確かにキッチンの床面温度が低い(日中でも6〜7℃)。床下断熱材も想定通り。施工に問題はない。
(床下温度は14℃、床下の方が温度が高かったそうです)
しかし、お客様の意向を受けて、キッチン床に床暖房を入れたそうです。

弊社の想定は以下です。
Q値とは、家内部の熱がどれだけ逃げにくいか?を示す指標です。
低ければ低いほど、家内部の熱は逃げにくい。
しかし、逃げない!わけではありません。逃げにくくなっているだけの数値に過ぎません。
そして、外から伝わる熱も「伝わらない」ワケではありません。必ず伝わっています。
伝わった冷気により室内の空気が冷やされ、キッチンの床面に冷気が溜まる。
溜まった冷気により床面が冷やされ、「キッチンに立つと足元が寒い」につながったと思われます。

さらにC値1以下、高い気密性により、空気の対流が阻害され、リビング暖房が広がりにくかったと考えています。
C値は、家の気密性能です。
サッシなどの開口部、換気口をビニールでふさぎ、壁の隙間を測定します。
しかし、24時間換気が義務付けられている日本では、2時間で家内部の空気を全て入れ替える設計になっています。
気密性能を高めたところで、2時間で全て空気が入れ替わるので、あまり意味がないと考えています。

Air断住宅では、開口部、吸排気口をふさいだ状態で計測するC値ではなく、通常使用する状態での空気の流れを重視します。
「Air断施工手引書」通りに作れば、空気の流れが想定通りに流れるはずです。
また、完成時に行う「風速測定」により、外部から風が流れ込んでいないか?を風速計で測定します。
想定以外からの空気の流れがあれば、再度気密処理を行って、空気の流れを遮断してもらっています。
(Air断住宅は負圧設計なので、建物完成時に簡単に風速チェックが可能です。窓を閉め切り、全てのファンを試運転させる事で、様々な隙間からの空気の流入をチェックできます。問題があれば、気密補修する事で簡単に直るのも特徴です。)
これらの事から、Q値〇〇以下、C値〇〇以下、ua値などの設定はありません。


※Q値、C値を否定しているわけではありません。
ただ、Q値、C値は参考にする程度で、絶対的な数値ではないと考えています。
また、Q値、C値測定にもコストがかかります。弊社では出来上がった住宅の気密を「風速テスト」で確認する事の方が重要だと考えています。

高気密状態


動画はあくまでもイメージです。
しかし、多くのユーザーの意見から、動画のような状態が起きていると考えられます。
高気密にする事で空気が動きにくくなり、暖房した暖気が同じ場所をローテーションする!

暖気と冷気が前線で対立し、暖かい場所と冷たい場所が出来てしまいます。
そして「冷気」は必ずフローリング面に広がるので、足元から冷たさを感じます。

これが高気密住宅の問題点!だと言われています。

高気密実話

超高気密住宅!の実話

超高気密住宅を建てた人のお話です。

「キッチンが寒くて寒くて、床暖房をつけてほしい」

「そんなはずはありません。Q値1.0、そして高性能断熱材、基礎断熱で覆った家ですから、そんなはずは・・・」

メーカーの点検では、施工に問題は無かった。
しかし、キッチンの床は驚くほど冷たい。

「とにかく、これじゃぁ冷たすぎて料理が出来ない…床暖房をつけてください」

場所は九州宮崎県、暖かい家を望んだお客様が選んだ超高気密高断熱!
坪あたり100万円超のハイスペック住宅。
「エアコンで十分に暖かい家」と言われたものの、キッチン床が凍えるような寒さだったそうです。

「石油、ガスファンヒーターは使いたくない!」との意見で、電気式床暖房を後付け!したそうです。

何が起きていたのか?

気密性が高まると、空気が動きにくくなります。
また、暖気と冷機は混ざりにくい性質があるので、なおさら暖かい場所と冷たい場所の差が出来ます。
キッチン床は、エアコンの暖気が届きにくい場所だった事も原因だったと思います。

気密性を高めればいい!

とは限らない事を理解しておくことが必要です。

気密が高いと!動かない。可視化


気密が高い状態と低い状態を可視化しました。
満タンと、4分の3まで水を入れたボトルで実験。
見るまでもなく、4分の3ボトルの方が激しく動いています。
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家でも同じような事が起きているのだと想定しています。
「エアコンの効きが悪い!」
のは、エアコン冷暖房が動きにくい状態になっているのでは?と推測しています。

高気密のデメリット


お風呂は、混ぜれば全体が温まりますよね。
混ぜなければ、上だけ暑く下は冷たいまま!
なんて経験ありませんか?

しかし、波打つ隙間もなく、蓋がピッタリと閉じられていたら?
混ざりにくくなります。

空気も同じでは無いでしょうか?
高気密にすればするほど、対流が起きにくい。
全体が混ざることなく、一部分だけが温度を高め、それが繰り返される。

結果寒暖差が激しくなり、異常な底冷えを感じてしまう!
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動画はイメージです。
しかし、高気密住宅で言われる「底冷え」現象は、このようなイメージを想定すれば納得できます。
【気密性は高い方が良い】とは言い切れないと判断しています。
コンセントや照明、床と壁の収まりを注意するだけで、気密性は大幅にアップします。その上で、空気が対流する仕組みが必要だと判断しています。