No.282の記事

驚異の断熱材を発見!




驚異の断熱材を発見!
ある断熱材に特殊加工を施すことで・・・

弊社では、様々な断熱材の温度性能を調べています。
放射による温度特性、対流による温度特性、そして、伝導による温度特性を個別に調査。
さらに、実物実験データを検証し、解析しています。
そんな中で、実験中の間違いから発見した驚異の断熱材に関してご説明します。

まずこちらの実験をご覧ください。

こちらは、セルロースファイバーとグラスウール10Kの熱伝導実験。
セルロースファイバーと、グラスウールを同じ段ボール箱に入れて、両側から保冷剤で冷却。
温度が下落する速度を計測しました。
グラスウール10Kは、約30分後には0度を記録。
それ以降、0℃付近をウロウロ。
0℃付近をウロウロするのは、保冷材での冷却性能の限界値!だからです。
保冷剤をたくさん用意すれば、さらに下がりますが、今回の実験では、限界値に達するまでの時間を知りたいので、1時間ごとに、新しい保冷材に交換して、計測しています。
対するセルロースファイバーは、1時間20分後に0度を記録。
それ以降、0℃付近をウロウロ。
速度としては、2倍以上の差が生じました。


続いてこちらはスタイロフォームでの実験。
約40分後に、0度到達。

こちらは、現在最も熱伝導率が低い材料フェノールフォームと、32kグラスウール。
フェノールフォームは1時間20分後に0度。
32Kグラスウールは、40分後に0度到達。

まとめると、30分で0℃に到達するのがグラスウール10K
そして、80分で0℃に到達するのがセルロースファイバーとフェノールフォーム。

この差はどれほどのものなのか?をご説明します。
最速グラスウールは30分で20度から0度に下がります。
その後、0度をキープして、7時間半後に、保冷剤を外し、元の温度に戻ると仮定します。
これを、グラフ化するとこうなります。
元に戻る温度勾配は、下落するときと同じ勾配となるので、このようなグラフが出来上がります。
この台形部分が、保冷剤の影響を受ける面積!

そしてこちらが、最遅となるセルロースファイバー、フェノールフォームのグラフです。
保冷剤の影響を受けて、セルロースファイバー、フェノールフォームは1時間30分で0度に到達。
(ここから、計算を分かりやすくするために1時間30分としています。)
その後0度をキープして、7時間半後に保冷剤を外し、1時間30分かけて、元の温度に戻ります。
この台形部分が、セルロースファイバー、フェノールフォームが外気温度の影響を受ける面積!

実は、この、最速グラスウールの面積と、最遅セルロースファイバー、フェノールフォームの面積は、同じです。
最速グラスウールの面積は、上辺が8、下辺が7、足して15
最遅セルロースファイバー、フェノールフォーム面積は、上辺が9、下辺が6足して15
高さは同じなので、面積は同じになります。
ただ、トータル面積は同じでも、最も電力を消費する1℃帯の面積が違う事に気付くと思います。
最速グラスウールは、7.033
最遅セルロースファイバー、フェノールフォームは6.1
この差が、高性能断熱材と、安価な断熱材の差となります。
さらに、外気温度が1℃下がると、エアコンの消費電力が10%アップすると言われます。
つまり、1℃帯は、15℃帯よりも2.5倍電力が必要。

これらを計算した結果がこちらです。


最速グラスウールは200.633u
最遅セルロースファイバー、フェノールフォームは196.9u
暖房が必要な面積に換算した結果、高性能断熱材と、安価な断熱材では、1.9%しか変わりませんでした。

つまり、電気料金も1.9%しか変わらない!と判断出来ると思います。


仮に最速グラスウールのエアコン代が年間10万円だとすると、
最遅セルロースファイバー、フェノールフォームでは、98,100円、1900円お得になる!と言う計算です。
30年で57,000円お得になる!
その為に、グラスウールをセルロースファイバーやフェノールフォームにグレードアップして150万円以上を支払う必要があるのか?となります。


そんな実験を行なう中で、誤って、2種類の断熱材を混合して実験した事がありました。
単純なミスでしたが、想定を超える結果が出た事に、一同驚きました。
そこで考えたのが、2種類の断熱材に特殊加工を行なったオリジナル断熱材。
オリジナル断熱材HR1型
さらに特殊加工を改良した、
オリジナル断熱材HR2型と命名して、実験を行ないました。

モザイク処理してありますが、画面右側がオリジナル断熱材HR1型
左側がオリジナル断熱材HR2型です。

最遅セルロースファイバー、最も熱伝導率が低いフェノールフォームの記録1時間半を経過しても、11.5℃と17.3℃を維持。
保冷材は、1時間ごとに取り換えながら計測。
8時間後でも、1型が6℃、2型は9℃をキープ。
他の断熱材が0℃に達する中、1型は6℃、2型は9℃をキープする結果が出ました。
これは驚異的!

これを、先ほどのグラフにするとこうなります。
そして暖房が必要な面積に換算すると、
オリジナル断熱材HR1型は、グラスウール断熱材に比べて53%ダウン。
オリジナル断熱材HR2型に関しては76%ダウン。

つまり、年間10万円のエアコン代が
オリジナル断熱材HR1型なら53000円ダウン。30年で159万円お得に。
オリジナル断熱材HR2型なら、76000円ダウン。30年で、228万円お得になる計算が成り立ちます。


もちろん他の要因もあるので、この計算が当てはまるとは言えません。
さらに、実験室データなので、実物の場合どうなるのか?は不透明。
そこで、東京Air断モデルハウス無断熱材の家を改良。
小屋裏の一部に、オリジナル断熱材U型を施工しました。
こちらが、施工前と後の小屋裏温度データです。

青色が外気温度、そして薄茶色が小屋裏温度です。
2月17日の小屋裏温度は、外気温度が1.6℃の時に、15.2℃まで下がり、16.3℃まで上昇した時に、20.7℃まで上昇しています。温度差5.5℃。
対する3月7日の小屋裏温度は、外気温度が0.2℃まで下がっても、18℃、20.2℃まで上昇しても20.2℃をキープ。温度差2.2℃。
最も外気の温度を受けやすい小屋裏で、圧倒的断熱性能を見せつけました。
4月には全面的な改装を行ない、昨年と比較する事で効果を確かめる予定です。
気になるオリジナル断熱材の費用ですが、1型、2型共に、既存2種類の断熱材に簡単な特殊加工を行なうだけです。
3〜4日の人件費が増加する程度だとご理解ください。

そして、なにを使ったのか、特殊加工とは何か?に関しては、正しい結果が出た後でご報告させていただきます。
ただ、どちらの材料も、湿気に弱い特徴があり、Air断必須が前提条件となる事をご理解ください。


もちろん、大阪モデルハウスにも採用する予定です。

これらの情報がこれから家を建てる皆様のお役に立てれば幸いです。