No.324の記事

「防湿シートで湿気を遮断します」は嘘?




建築で使われる防湿シートは、湿気を通しにくいだけで、通らないわけではありません。
「断熱材」が、熱を断っているわけでは無く、熱の伝わりを遅くしているのと同じで、防湿シートは、湿気が通り抜けるのを遅くしているだけに過ぎません。


こちらは、防湿シートで完全密閉した温湿度センサー!
室内を加湿すると、みるみる内部湿度が上昇!
室内の温湿度センサーの方が早く上昇しますが、防湿シートで密閉した温度センサーも、負けじとグングン上昇!
4時間も経てば、どちらも同じ湿度まで上昇します。

つまり、4時間も経てば、湿気は通り抜けている!と言う事です。

これが防湿シートの防湿性能!


一般的な高気密高断熱住宅の場合、壁のこの部分に、防湿シートが貼られます。
つまり夏季の湿気は、外壁を通り抜け、合板を通り抜け、壁内部に侵入しています。

湿度が高まる夏季、外部の湿気は壁内に楽々侵入し、壁内部の湿度を高めます。
室内側では、エアコンによる冷気が壁の温度を下げます。
冷えた壁に、高まった湿気が接触して結露。
エアコンが動いてる間中、壁の中では限りなく結露が発生し続けます。

湿度が下がる冬は、室内で発生する湿気が、壁内部に移動すると言われます。
加湿器、燃焼系暖房機器、お風呂、室内干し、料理、そして人が発する湿気が、防湿シートをすり抜けて、楽々壁内部に移動。


壁内部は、冷たい外気により温度が下がっています。そこに室内の湿気が接触して結露。
窓ガラスが結露してる状態をご覧になった事があると思います。
あれと同じ状態が、壁内部で起きている!と考えたら、少し怖いですよね。


さらに、気密性の高い壁内部で発生した結露は、長期間乾燥する事なく壁内部にとどまります。
水分が付着した木材には腐朽菌が繁殖。水が無くても、湿度が高まるだけで腐朽菌は繁殖します。


腐朽菌が繁殖すると、木材はふやけた柔らかい状態になり、最終的にボロボロに朽ちます。
もちろん、木材の強度は極端に下がり、震度5にも耐えられないような耐震性の低い家に変化します。

これが高気密高断熱住宅で起きると言われる、壁内結露リスク!
昔の家は、気密性が悪く、隙間風スースーだったのが幸いして、壁内部に発生した結露がすぐに乾燥!
壁内結露が発生しにくかったと言われています。
しかし、現在の家は、断熱性能、気密性能を極限にまで高めています。
これが、壁内結露を誘発し、耐震性すら低下させるリスクを高めます。
こちらは、Air断ではない、天井400oセルロース、壁230oセルロース、グラスウールのダブル、基礎断熱100oスタイロフォーム、超高気密、超高断熱住宅の、壁内部湿度グラフです。
外部湿度の上昇と同じように、壁内部湿度も推移しているのが分かります。
これが壁内結露を誘発し、発生した結露が木部を虫食みます。


こちらは、Air断壁内部の湿度変化です。
夏季最も湿度が高まる8月、外部は絶対湿度26g。
人は絶対湿度20gを超えると、自ら発した汗が乾きにくくなり蒸し暑さを感じるようになるそうです。それが、26gにも達する高湿度、じめじめした暑さが続く季節でも、壁内部の絶対湿度は11g以下。
4月上旬の湿度と同等、カラッとした壁内環境。
この状態では、結露は発生出来ません。

なぜ壁内部に湿気が入り込まないのか?
夏季は、壁内部に侵入しようとする水蒸気を、通気層の空気の対流が阻害。
水蒸気も通気層の対流に押し流されている!と推測しています。
冬季は、室内で発生する水蒸気を、各部屋のファンがいち早く通気層へ排出。壁内部に入り込まないようにしていると推測しています。
もちろん、この想定が、正しいとは言い切れません。
しかし、Air断全てのモデルで同様の結果が出ている事から、あながち間違っていない想定だと判断しています。

私たちは、断熱、気密にこだわり、防湿シートを張り巡らせた、超高断熱高気密住宅が、10年経たずに壁内部から朽ち果てたケースを何件も見てきました。

だからこそ、壁内結露が発生しない工法が必要。
そして、現時点では、Air断だけが、壁内結露を抑制する唯一の工法だと、判断しています。
今後も、モデルでの検証を進め、間違いがあったら訂正、新しい事実がわかったら、ご報告させていただきます。
これらの情報が、これから家を建てる皆様のお役に立てれば幸いです。