断熱等級と暖房費用
断熱等級が異なる、Air断愛知モデルハウス、Air断東京モデルハウス、Air断大阪モデルハウスの暖房費を比較しました。
比較のために、全モデルを、同じ温度設定で、1か月、24時間暖房。
使用したエアコン電気料金と、外部平均温度を換算して、暖房費を比較しました。
まず、断熱等級に関して説明します。
断熱等級とは、国が定める断熱性能の事です。
1から7までの段階があり、断熱等級7が、最も断熱性能が高く、エコな冷暖房が可能とされます。
国が定めた断熱性能が高い商品を使えば使うほど、ポイントが加算され、断熱等級が最高値7に近づきます。
Air断東京モデルハウスは、そもそも断熱材が入っていません。
そのため、断熱等級1以下、現在の基準では不適合となる断熱性能です。
特に、アルミサッシを使用した点が、断熱等級を下げた要因でした。
アルミサッシは“断熱性能が悪い”とされ、マイナス査定。昭和の断熱等級と判定されました。
Air断大阪モデルハウスにも、断熱材と呼ばれるものは一切入っていません。
断熱材ではなく、ジェル断を使用して作りました。
更に、大阪モデルでも、アルミサッシを使用。
その結果、断熱等級2、こちらも、現状の基準では不適合となる水準です。
Air断愛知モデルハウスは、壁にグラスウール100ミリ、付加断熱50ミリ、を採用。
更に、樹脂サッシ、ペアガラスを使用しています。
2015年に完成した物件でありながら、断熱等級5を獲得。
等級を押し上げた要因は、樹脂サッシです。
樹脂サッシ使用が、断熱等級を4から5に押し上げました。
断熱等級的には、
Air断愛知モデルハウスが、断熱等級5でトップ。
次に
Air断大阪モデルハウスが、断熱等級2で不適合
最後が
Air断東京モデルハウスが、断熱等級1、昭和レベル
この状態で電気使用量を比較するのですが、愛知、東京、大阪モデルハウスは、外気の平均温度が全く違います。
Air断愛知モデルハウスは、1ヶ月の外気平均温度が10.9℃
Air断東京モデルハウスは、1ヶ月の外気平均温度が8.6℃
Air断大阪モデルハウスは、1ヶ月の外気平均温度が5.4℃。新潟と同等の寒さとなるエリアです。
この外気平均温度を換算して、算出するのが、「1℃あたりの暖房費」です。
結果は、Air断大阪モデルハウスが、最も低い事が分かりました。
断熱等級2、不適合住宅でありながら!です。
樹脂サッシを使用した、断熱等級5のAir断愛知モデルハウスでも、Air断大阪モデルハウスの暖房費に遠く及ばない。
本来樹脂サッシは、家の外皮面積に対して1%にも満たない面積しかありません。その1%を、樹脂サッシに変えることで、本当に断熱性能が上がるのか?
が、疑問でしたが、結果を見る限り、樹脂サッシが断熱にはあまり関与していない事がうかがえます。
更に、Air断大阪モデルハウスでは、安価なアルミサッシを使用しながらも、エアコン1台で全部屋を暖め、底冷え、結露も一切なく、エコな冷暖房につなげました。
これは、「断熱等級や、UA値だけでは、家の本当の断熱性能は判断できない!C値などの現場要因、そして、工法が、断熱性能を大きく左右する」という事だと思います。
ちなみに、Air断愛知モデルハウスは、C値3.2
Air断東京モデルハウスは、C値3.6
Air断大阪モデルハウスは、C値0.36 超高気密状態。
断熱等級ではトップのAir断愛知モデルハウスですが、C値測定結果は、Air断大阪モデルハウスの9倍、遠く及ばない。
つまり、断熱性能に大きな影響を与え、エコな電気料金に直結するのは、断熱等級ではなく、C値や工法だという事が、うかがい知れる結果となりました。
そもそも、C値とは?
C値とは、隙間がどれだけあるか?を数値的に示す値です。
家の完成時に、現場で気密測定することで把握出来る値です。
小さければ、隙間が少ない家。
大きければ、隙間が多い家となります。もちろん、小さい方が高性能。
建築途中で計測したり、サッシなどに目張りして測定する結果は、正しいC値とは言えません。
また、C値は、夏と冬で、数値が変化します。
夏は、木材が膨張しているので、隙間が減り、C値が小さく出ます。
冬は、木材が収縮して隙間が増え、C値が大きくなります。
さらに、経年変化による亀裂、クラックなどでも、C値は増加します。
C値を小さくする、つまり隙間を少なくするには、工務店の技術力が大きく関与する事をご理解ください。
冬、木材が収縮しても、隙間が発生しない工夫。
経年変化による亀裂、クラックができても、隙間が発生しない工夫。
これらの工夫こそが、断熱性能を長期的に維持し、エコな冷暖房を可能にするポイント。
つまり、「工夫を凝らした、丁寧な家造り」こそが、断熱性能を大きく左右する!最重要項目だと、私たちは考えています。
もちろん、断熱等級や、UA値に、意味がないわけではありません。
図面上で判断するには、断熱等級や、UA値を参考にすべきだと思います。
しかし本当の断熱性能は、正しい理論に基づいた工法や、長期的に隙間が発生しない工夫が、大きく関与することを知っておいてください。
どれだけ、断熱性能の高い断熱材を使っても、どれだけ性能の高い樹脂サッシ、ペアガラスを使用しても、作り方が下手だったり、雑だったりしたら、その性能を全く発揮しません。
「工夫や丁寧な作り方」こそが、断熱性能を高める最も重要なキーワードであること、
しかしながら、どれだけC値を下げても、それだけではいい家につながらないことも、ご理解いただければ幸いです。