「高性能断熱材は、室内で冷暖房した熱が逃げにくくなるのだから、エコになるのは当然!と教授に言われたのですが・・・」
「高性能断熱材は、室内で冷暖房した熱が逃げにくくなるのだから、エコになるのは当然!と教授に言われたのですが・・・」
大学生からの、再度の質問です。
以前の質問の解説と重なる部分もあるので、そちらも参考にしてください。
「室内で冷暖房した熱が逃げにくくなる」
とありますが、室内で冷暖房した熱が逃げだすのは、外気温度の影響です。
仮に、室内が20℃の場合、外気温度も20℃だったら、決して、室内の熱が、外に逃げる事はありません。
外気温度が下がった時に、室内の熱が、外に移動を始めます。
この時、熱の移動が、高性能断熱材の場合、ゆっくり移動する。
安価な断熱材の場合、素早く移動する!となります。
外気温度が下がると、素早く逃げ出す安価な断熱材に対して、ゆっくり逃げ出す高性能断熱材。
この部分だけを見ると、エコになるのは当然です。
しかし、外気温度は下がりっぱなしではありません。
こちらは、Air断北海道モデル、外気温度データ。
下がったり、上がったりを繰り返すのが外気温度。
つまり、外気温度が上昇に転じると、素早く上昇するのが安価な断熱材。
素早く温度が上昇する事で、熱が逃げるのが止まるのも素早い。
対して、ゆっくり上昇するのが高性能断熱材。ゆっくり温度が上昇するので、熱が逃げるのが止まりにくい。
トータルで見ると、同じ事だと思います。
こちらは断熱材を一切使用していないAir断東京モデルの外気温度推移です。
外気温度が下がる時は、高性能断熱材はエコ。
しかし外気温度が上昇する時は、高性能断熱材は、ロスとなります。
エコとロス、が繰り返される事で相殺、トータルでエコになる事は無いと思います。
もちろん、安価な断熱材も、ロス、エコが繰り返されるので、トータルでロスになる事は無いと言えます。
万が一、高性能断熱材でエコばかり生まれてしまうと、エコが積み重なり、巨大なエコエネルギーが生まれます。
安価な断熱材も同様、ロスばかり生まれてしまうと、ロスが積み重なり、巨大なロスエネルギーが生まれてしまいます。
自然は、この様なエネルギーの蓄積を許していないそうです。
温度が上下する事で、エコとロスが相殺し、エネルギーの帳尻を合わせているのが、自然の摂理だと言われています。
つまり、どんなに熱伝導率の低い断熱材を開発しても、温度が上下した時に、エコとロスが打ち消し合って、プラスマイナスゼロ。
これが、かねてから弊社が申し上げている「断熱材はどれも同じ」と言う基本概念です。もちろん、この考えが正しいとは限りません。
「熱伝導率が低い方が、エコに繋がる」と言い切る教授が多い事も存じ上げています。
しかし、誰が正しいか?ではなく、なにが正しいのか?が最も大切であり、その事実に基づいて、正しい家造りを考える事が、最も重要だと私たちは判断しています。
「断熱を制すれば、家造りを制す」と言われるように、断熱は家づくりにおいて最も重要なコンテンツです。
間違えた断熱が、結露をひき起こし、耐久性、耐震性を大幅に低下させる事は、これまでの検証から分かっています。
だからこそ、本当の意味で、断熱性能を高める事が重要。
今後も実験、実物データ検証を進め、お伝えさせていただきます。
ご理解いただければ幸いです。