No.90の記事

セルロースファイバーの調湿実験

「セルロースファイバーは、夏の湿気を吸って、冬に湿気を吐き出す!調質性能があるんです。断熱性能だけじゃないんです」
とご意見をいただきました。

担当者の話では、「セルロースファイバーは、自重の60%の水蒸気を吸い込む事が出来る」と語っていました。
しかし、実際のセルロースファイバー住宅の検証では、一般住宅の湿度とほとんど変わりません。

「窓の開け閉めが多いだけじゃないですか?」
とご指摘を受けたので、以下の追加実験を行いました。


本当に水蒸気を吸収しているなら、湿度99%に加湿した室内で、セルロースファイバーは水蒸気を吸って重くなるはずです。
これを実験しました。

2種類のダンボールを用意。
片方にはセルロースファイバーを400グラム
もう片方には硬質ウレタンフォームを400グラム
天秤に載せ室内を99%まで加湿。
4日間計測しました。
こちらが実験動画です。

セルロースファイバーが、自重の60%の水蒸気を吸収するなら、640グラムまでメモリが増えなければなりません。
硬質ウレタンフォームは、調湿性能がゼロなので、グラム数が増えることはありません。


結果は、両方とも450グラムに増加。
この増加は、ダンボールが湿気を吸収した水分だと判断出来ます。
つまりセルロースファイバーは、湿気を吸収していない事が実験から明らかになりました。

撥水加工してあるセルロースファイバーに「調質性」がある事自体に疑問を感じていましたが、実験結果からも「調質性」が無い事が示されました。
この実験結果や、実際の湿度データを検証した結果、「セルロースファイバーに調質性がある」とは言えないと判断しています。