No.116の記事

C値、Q値に関して

「Air断住宅の場合、どれくらいのC値、Q値を基準としてますか?」

ご質問がありました。
弊社ではC値、Q値を考慮していません。

以前Q値1.0
C値1以下の超高気密高断熱住宅で発生したトラブルをご紹介します。

高齢のご夫妻で、「寒さが苦手だから・・・」と言って、超高気密高断熱住宅を選ばれました。
エリアは福岡県です。
高性能断熱材で家全体を覆い、サッシは木製、ガラスは3層。
文字通り超高気密高断熱住宅です。
しかし、「寒くてキッチンに立てない、床暖房入れてほしい」と奥様からクレーム。
「そんなはずはありません、エアコン暖房だけで暖かいはずです」
とメーカーは反応。
「私は特別寒がりだから、とにかく床暖房入れてください、寒すぎて本当にキッチンに立てないんです・・・」
メーカーが測定すると、確かにキッチンの床面温度が低い(日中でも6〜7℃)。床下断熱材も想定通り。施工に問題はない。
(床下温度は14℃、床下の方が温度が高かったそうです)
しかし、お客様の意向を受けて、キッチン床に床暖房を入れたそうです。

弊社の想定は以下です。
Q値とは、家内部の熱がどれだけ逃げにくいか?を示す指標です。
低ければ低いほど、家内部の熱は逃げにくい。
しかし、逃げない!わけではありません。逃げにくくなっているだけの数値に過ぎません。
そして、外から伝わる熱も「伝わらない」ワケではありません。必ず伝わっています。
伝わった冷気により室内の空気が冷やされ、キッチンの床面に冷気が溜まる。
溜まった冷気により床面が冷やされ、「キッチンに立つと足元が寒い」につながったと思われます。

さらにC値1以下、高い気密性により、空気の対流が阻害され、リビング暖房が広がりにくかったと考えています。
C値は、家の気密性能です。
サッシなどの開口部、換気口をビニールでふさぎ、壁の隙間を測定します。
しかし、24時間換気が義務付けられている日本では、2時間で家内部の空気を全て入れ替える設計になっています。
気密性能を高めたところで、2時間で全て空気が入れ替わるので、あまり意味がないと考えています。

Air断住宅では、開口部、吸排気口をふさいだ状態で計測するC値ではなく、通常使用する状態での空気の流れを重視します。
「Air断施工手引書」通りに作れば、空気の流れが想定通りに流れるはずです。
また、完成時に行う「風速測定」により、外部から風が流れ込んでいないか?を風速計で測定します。
想定以外からの空気の流れがあれば、再度気密処理を行って、空気の流れを遮断してもらっています。
(Air断住宅は負圧設計なので、建物完成時に簡単に風速チェックが可能です。窓を閉め切り、全てのファンを試運転させる事で、様々な隙間からの空気の流入をチェックできます。問題があれば、気密補修する事で簡単に直るのも特徴です。)
これらの事から、Q値〇〇以下、C値〇〇以下、ua値などの設定はありません。


※Q値、C値を否定しているわけではありません。
ただ、Q値、C値は参考にする程度で、絶対的な数値ではないと考えています。
また、Q値、C値測定にもコストがかかります。弊社では出来上がった住宅の気密を「風速テスト」で確認する事の方が重要だと考えています。