No.144の記事

セルロースファイバーについて

「他の断熱材実験では、セルロースファイバーの温度が上昇しない結果が出ていますが、この結果をどう説明しますか?」

とご指摘がありました。
そして、指摘のあった他社の”YouTube” 実験動画を確認しました。
図のような実験ですよね。

10分後に
1.グラスウール下の温度センサーは10度近く上昇
2.フェノールフォーム下の温度センサーは5度上昇
3.セルロースファイバー下の温度センサーは上昇無し。
セルロースファイバーの断熱性能が高い実験結果となっている動画だと思います。
住宅検査 ホームリサーチ
セルロースファイバーについて


この実験では、投光器の熱源を利用しています。
投光器の場合と、実際の太陽光では、紫外線や赤外線の量が全く違います。

また、セルロースファイバーは、光を遮断しやすいので、10分程度では熱の影響を受けにくいだけだと判断します。
さらにグラスウールは、真ん中に位置するので、両サイドに熱が逃げにくく、温度が上がりやすいと考えます。

それぞれの試験体を離して実験しないと、正確な測定にはなりません。
また、実際の家では、投光器のような放射光ではなく、対流で熱が伝わります。

実際の家では、太陽光で外壁が温められ、外壁に接触した空気が断熱材を暖めます。
指摘の実験は、家が置かれる環境下ではなく、”投光器”の光に対しての、断熱性能を比較した実験だと思います。
(ただ、やはり真ん中に配置されたグラスウールは、熱の逃げ場が無いので、平等な実験とは言いにくい気がします)

家の置かれる環境下での、断熱材の実験を行う場合、10分程度の実験ではなく、最低でも24時間以上続け、温度上昇と下降の記録を取る必要があると思います。

弊社が行っている室内実験は、家が置かれる環境での実験です。
グラフは、
青色 セルロースファイバー
赤色 グラスウール
灰色 スタイロフォーム
の8時間温度変化です。
熱源は投光器ではなく、専用温風ヒーターを使用しています。
1時間後からは、どの断熱材内部でも似たような温度が記録されています。
住宅検査 ホームリサーチ
セルロースファイバーについて


さらに、各断熱材の経年変化を測定するために、5年越しの実験を継続中です
実物実験では、実際の家にセンサーを取り付けてデータを記録しています。

ご指摘の実験と弊社の実験とでは、本質が違うと考えています。