No.223の記事

東京モデルハウス 無断熱材の家〜冬季検証結果〜



2014年から続けている、断熱材実験棟データでは、
どの断熱材も性能的に差はありませんでした
実験棟は、44坪2階建てで、東壁面に、様々な断熱材を施し、
壁内部に温度センサーを設置して、24時間計測しています。

こちらが実験棟温湿度データです。記録は2014年から・・・  
例えば2020年8月12日、外気温度が40℃を超えた猛暑日の断熱材内部温度は、
ロックウールがこちら、発泡ウレタンがこちら、サーモウールがこちら、
グラスウールがこちら、スタイロフォームがこちら、セルロースファイバーがこちら、
フェノールフォームがこちら、様々な断熱材温度、湿度を、記録し続けています。

結果は、
高性能断熱材も、安価な断熱材も、性能的に、どれもほとんど変わらない・・・
それどころか、月平均、年間平均では、外部の温度センサー平均値と変わらない事が判明。
当時は衝撃を受けました。

2018年から追加検証している、400ミリボックス断熱材実験でも、同じ値が観測されました。

これらのデータが示すことは、「断熱材は断熱していない」と言う事。
事実なら衝撃です。

しかし、仮に「断熱している」と考えた場合、その熱はどこに消えるのか?が問題になります。
もちろん、断熱材も熱を吸収しますが、密度が小さく軽い断熱材が吸収する熱量はしれています。
断熱材が熱を断っているとしたら、
断熱材内部で熱を消し去っている事になります。これはこれで問題です。
物理の、エネルギー保存則では、「エネルギーは無くならない!!!」が基本原則。
つまり、断熱材内部で、熱であるエネルギーが無くなる事は、、、、無い
つまり、熱は全量伝わっている!
伝わり方が幾分遅くなっているだけ・・・と考えると、全ての実験結果をウマく説明できます。

しかし、これが正しければ、断熱材に頼る建築は、間違えていることになります。
断熱材は必要なのか、不要なのか?答えを出せずにいた時に、設計士吉田が放った一言が
「無断熱材の家を作ろう」
でした。

「断熱材を使用しない家を建てれば真実が分かる!」

吉田の強い意見で、2020年11月に、東京モデルハウス無断熱材の家を着工。

翌、2021年2月10日 35坪2階建 3LDK アメリカンチックでオシャレな家が、
断熱材を一切使わずに完成しました。
さっそく、メインエアコンを取り付けて、計測開始。Air断がプログラム通りに動き始めました。
冬季の完成物件は、家全体が冷え切っています。
正しい性能が出るのは、暖房開始後1か月ほど経過してから・・・

しかし、我々が真っ先に驚いたのが床下温度の上昇でした。
Air断愛知モデルの床下温度は、15℃前後
しかしAir断東京モデル寒冷地versionでは、暖房開始後いきなり床下温度が7℃から18℃まで上昇
真冬の2月中旬、21℃まで上昇する事もありました。
床下に熱を捨てている!と言う人もいますが、床下から暖めているとも取れます。

さらにAir断は、ゆっくりと家全体を暖め、3週間後には昼間暖房を止めなければ、
汗ばむほど温度が上昇。1階も2階も、24℃をキープするようになり、
底冷えを感じる場所は一切ありませんでした。
さらに、東京モデルでは安価なアルミサッシを使用しています。
アルミサッシの欠点は、結露!ですが、スタッフが常駐してから、一度も結露は発生しませんでした。

「本当に断熱材は入ってないのか?」

来場したプロも驚く暖かさ!を発揮した無断熱材の家。

これが意味するのは、「断熱材はいらない」と言う事実。
もちろん、対流断熱Air断があれば!と言う条件が付きますが・・・
愛知断熱実験棟、Air断愛知モデル、Air断北海道モデルの実測データから
導かれた結果と同じ答え・・・。
しかし断言は出来ません。夏 どうなるのか?が残っています。

ただ、我々がこれまでの実験や実物実測データを検証して思うのは、
最近の家づくりは、コンピュータマシンカットや、材料の進化で、
気密性能が大きく向上しています。外部の空気を極限まで遮断する技術が進化した現在、
昔とは比べ物にならないほど、向上した建築技術によって、断熱材に頼ることなく、
高い断熱性能を発揮する家を、作れるようになっていた気がします。

だからと言って、無断熱材の家を推奨するわけではありません

「断熱材の性能ははどれも同じ」と言う事が分かれば、安価な断熱材でも安心して使用出来ます。
建ててからでは、取り換える事は出来ない断熱材、そして多くの人が、
どれにすれば良いのか?迷うのが断熱材です。
「断熱材はどれが良い?」
20年前 問われた質問に、我々は答える事が出来ませんでした。
今やっと答える事が出来ます。
「どれも一緒ですよ、だから、安ければ安いほどいいと思います。
だって、無くてもイーんですから」
と。

もちろん、我々の実験や実測が正しいとは言い切れません。
しかし、愛知モデル、北海道モデルや、東京無断熱材モデルのデータを見る限り、
高い確率で正しいと考えています。

これらの情報が、皆様の家づくりにお役に立てれば幸いです。