No.227の記事

過乾燥になるメカニズム



過乾燥になるメカニズム
そして、Air断が湿度20%以下でも過乾燥にならないメカニズムを解説します。

「湿度20%以下、過乾燥になってますよね!」

ご質問があったのでお答えします。
湿度20%以下・・・これは、相対湿度を指しています。
一般的な湿度計では、相対湿度が使われ、単位は%で表示されます。
%ですから、“確率”と考えることが出来、“おおよそこれくらい”のような感じで用いられるのが相対湿度です。
ですから、「相対湿度が20%以下だから過乾燥」と、ひとくくりで決められるものではありません
こちらの動画で、温度と相対湿度、そして絶対湿度の関係を説明します。
幅10メートルのプールがあると仮定します。
ここに半分まで水が入っていると仮定します。
つまり50%の水位です。
このプールの幅が、20m、倍に広がったら?
50%の水位は、25%に下がりますよね。
逆に5m、半分に縮まったら?
50%の水位は、100%、満タンに上がりますよね。
この時、水分量は全く変化していません。
プールの大きさに対して、水位が変化してるだけです。
これが、温度、相対湿度、そして絶対湿度の関係です。
プールの大きさが、温度。広がれば温度が高い、縮まれば温度が低い状態。
水位が相対湿度、そして、水分量が絶対湿度です。
プールが広がると水位が下がる、つまり温度が上がると相対湿度が下がる。
プールが縮まると水位が上がる、つまり温度が下がると相対湿度が上がる。
相対湿度は、湿度の上下に左右される少しいい加減な数値
しかし、水分量はプールが広がっても縮まっても変化しない。
つまり絶対湿度は温度の上下では変化しない!数値と言えます。

要するに、正確な空気中の水分量を知るには、絶対湿度を知る事が重要で、
絶対湿度の低下こそが、「過乾燥」と呼ばれる状態だと言われています。
絶対湿度の単位には、%ではなくgが使われます。
こちらが絶対湿度を表示する湿度計です。
上から絶対湿度、単位はg/㎥
真ん中が温度、下が相対湿度、単位は%となります。
絶対湿度は、1㎥の空気中に、何グラムの水蒸気が含まれているか?を表示しているので、
温度の上下に左右される事なく空気中の水蒸気量を把握する事が出来ます。



こちらは、絶対湿度と相対湿度が温度で変化する動画です。

外気温0.5℃、絶対湿度3.8g、そして、湿度76%の室外です。
ここからAir断愛知モデル内部に入ります。

室温がグングン上昇すると共に、相対湿度がグングン下がり始めます。
そして絶対湿度も若干上昇・・・。

最終的に、室温23℃、絶対湿度5.7g、相対湿度28%になりました。
絶対湿度的には、室外で3.8gだったのが、室内に入ると5.7g。2グラム増加。
室内の方が湿度は高い事になります。
相対湿度的には、室外が76%だったのが、室内に入ると28%、室内の方が湿度が圧倒的に低い事になります。
どちらが正しいのでしょうか?
もちろん、湿度を正しく把握するのは、温度に左右されない絶対湿度です。



一般的に室外では、夏場は1㎥25g程度、冬場は5g程度と言われます。
夏の25gと比べると、冬の1㎥5gは5分の1、「少なッ」と思うかもしれませんが、この1㎥5gをあなどってはいけません。
家が気候の影響を受ける範囲を、少なく見積もって1q四方と考えた場合、この1q四方に5000トンの水蒸気が含まれている状態が1㎥5gです。
1㎥に5gと言う水蒸気量は、お風呂の水に例えると25000杯分。
1日1杯としても、65年分の水分量です。家にとって、無尽蔵と言えるほどの水分量を含んでいる事になります。

しかし、最近の高気密住宅では「過乾燥」が問題視されます。
家周辺には、無尽蔵とも言える5000トンの水蒸気がフワフワ浮いているにも関わらず”過乾燥”
これは、高気密化と、エアコン暖房、そしてコールドドラフト現象が原因だと言われています。

高気密住宅では、気密性が高く、空気の循環が妨げられます。
特に冬季は、冷えた壁や窓ガラスに、室内の空気が接触して冷やされます。

空気の循環が悪い高気密住宅では、冷やされた空気は重くなり、壁を伝わって床面に広がり、冷たい層を形成します。
これがコールドドラフト現象。
この壁や、床面に広がった冷たい空気の層は、エアコンが放出する暖気と反発し、暖気を寄せ付けません。冷たい空気と暖かい空気は混ざり合わない事が原因。
暖気が寄り付かない壁や窓ガラスは、外気と同じ温度まで徹底的に冷やされます。
この外気と同じ温度に冷やされた壁や窓ガラスに、室内の水蒸気が接触。
暖かい空気は、冷たい空気と反発しますが、暖かい空気に含まれている水蒸気は、反発する事なく冷たい部分に突撃。
結露して水へと変化します。
床や絨毯、木材などは、結露した水分を吸収。
水分を吸収できない窓ガラスなどでは、目視できるほど大量の水分が発生します。

一般的なエアコンで暖められた空気は、50℃前後で噴き出してきます。
そして、50℃前後の空気は、16℃以下の物質に接触すると”結露”を起こします。
コールドドラフトで冷やされた、壁、床、に接触して瞬間に結露。
これらの物質表面で結露した水分は、それぞれの物質が瞬く間に吸収。

水分を吸収しないアルミサッシやガラス表面では、結露による水滴が発生し、冬季貴重な空気中の水蒸気が失われます

水蒸気を失った空気を、もう一度エアコンが吸い込み、50℃前後に加熱して放出。
そしてコールドドラフトで冷やされた16℃以下の物質に接触して結露・・・これが繰り返される事で、空気中の水分をカラカラになるまで搾り取ります。

1㎥5gの水蒸気を含んでいた空気は、エアコン暖房1時間後には4g、2時間後には3グラムと目減りし5〜6時間後には1gを割り込む、まさにカラカラ乾燥状態、
これが高気密住宅の「過乾燥」メカニズムと言われています。



Air断住宅では、1時間に1200㎥、通常24時間換気の20倍程度の空気を外部から取り入れています。
外気の絶対湿度が1㎥5gだとしたら、どれだけエアコン暖房を行なっても、1㎥5gが目減りする事はありません。
何時間後も、外気と同じ5gをキープするのがAir断住宅です。
理由は、コールドドラフトが発生しないから!
壁や窓ガラスで発生する冷たい空気を、壁に取り付けたファンが真っ先に通気層へと吸い出します。さらに、通気層を流れる空気が、外部から伝わる冷気や暖気も押し返します。
コールドドラフトの発生が少ないAir断住宅では、一番冷たくなる窓ガラスやサッシでも20℃前後。だから、空気中の水蒸気が結露して失われる事がありません。
同じ空気を何度も何度も暖める“高気密住宅”ではなく、コールドドラフトの発生を抑え、常に新鮮な空気を暖める“Air断住宅”だけが、エアコン暖房でも過乾燥になりにくい特徴を持ちます

これらの理由から、

「湿度20%以下だから過乾燥」
とは言えないのです。

ただし、Air断住宅で加湿器を使用しても、湿度はほとんど増加する事はありません。
これは、室外で加湿器を使用しているようなものだからです。
つまり、草原のような環境を、室内で作り出しているからです。

弊社の見解が正しいとは言い切れませんが、愛知、北海道、東京モデルデータを検証する限り、正しいと判断しています。