No.239の記事

「真空断熱材なら効果あるんじゃ?」



「真空断熱材なら効果あるんじゃ?」

「真空断熱材でも熱は伝わります・・・」

「真空断熱材をご存知ですか?
真空断熱ボトル”サーモス”は、24時間経っても冷めないそうです。真空断熱材を使えば、エアコンなど使用しなくても快適な家が出来るのではないでしょうか?」

ご質問がありました。
真空断熱材、存じ上げております。
高性能断熱材の熱伝導率が、0.02w/mkに対して、0.002w/mk
一桁違う、まさにけた違いの断熱性能を持つ断熱材です。

ただし、真空部分の熱伝導率です。
周辺、そして、表面からは熱が伝わります。
(真空断熱材の部分は熱を通さないが、それを包み込むステンレス部分は熱を素早く通す。これをCGで表現。)

真空断熱材”サーモス”も、真空でない部分から熱は伝わります。
こちらが、真空断熱材サーモスを、日の当たる場所に放置して、内部の温度変化を測定したグラフです。
(真空断熱材サーモスがベランダに置かれている状態を撮影して表示、グラフも表示)
薄茶色が真空断熱材サーモス内部の温度、青色が外気温度です。

8月25日がこちら・・・
外気温度の上下に連動して、真空断熱材サーモス内部温度も上下しています。決して真空断熱材サーモス内部温度が、外気温度の影響を受けていないわけではありません。ほぼ、リアルタイムに外気温度の影響を受けています。
8月26日がこちら・・・
8月27日は、最高温度が56.2℃を記録
そして翌日8月28日は最高温度57℃を達成。
真空断熱材と言えども、熱は伝わる事が見て取れると思います。

「24時間経ってもお湯が冷めない」

水は、身近な物質の中で最も熱しにくく冷めにくい物質です。
それが気密性の高い、真空断熱材のポット目一杯に入っていたら、熱が逃げにくいので、さらに冷めにくくなります。
家の場合、家の中にお湯をたっぷり入れるわけではありませんよね。
家の中にあるのは、空気です。
そして、空気は、身近な物質の中で最も熱しやすく冷めやすい物質です。

サーモスの様な、気密性能が極端に高いポットでも、内部が空気だったら、外気の影響を受けて温度が上下するのですから、気密性能が悪い家の場合、どれだけ高性能な真空断熱材を使用しても、効果は無いと判断します。

真空断熱材は、真空の部分は熱を通すことはありません。
しかし、それを取り囲む金属が熱を通します。
真空断熱材、蓄熱断熱材、高性能断熱材、どれも、素材で熱を遮断する仕組みですが、熱が消えてなくなるワケではなく、結局、熱は伝わります。
素材ではなく、対流で熱が流れる方向を変えるAir断が、現時点では最も断熱性能が高いと判断しています。