No.264の記事

「うちで使用する木材は、夏湿気を吸い込み、冬に湿気を放出するから、乾燥しないんです」と言われたのですが、本当でしょうか?



「うちで使用する木材は、夏湿気を吸い込み、冬に湿気を放出するから、乾燥しないんです」と言われたのですが、本当でしょうか?
と、質問がありました。

無垢材は、湿度の高い時期に、湿気を吸い込み、乾燥し始めると、吸い込んだ湿気を放出します。
しかし、その量は極めて少ない・・・
そして、湿気を吸い込んでも吐き出しても、無意味な事を説明します。

まず、夏季から説明します。
夏季の絶対湿度は、1㎥あたり25gほどまで上昇します。
対する冬季の絶対湿度は、1㎥あたり5g程度
夏季は冬季の5倍以上、湿度が上昇します。
木材は、この水蒸気を吸い込んで、パンパンに膨張します。
膨張により、ヒビが入ったり割れたりする事があります。
しかし、木材が吸い込む水蒸気の量は決まっています。限界値以上の水蒸気を吸い込む事は出来ません。

そして、限界値は意外にも早く訪れます。
湿度は、4月中旬から徐々に上がり始めます。
同時に木材も、徐々に水蒸気を吸い込み始めます。
6月梅雨時期に、ピークを迎え、木材の水蒸気吸い込み量は限界値に達すると言われます。
7月、8月木材は限界値を超えるので、水蒸気を吸い込む事が出来なくなります。

そして9月後半、10月中旬には、吸い込んだ水蒸気を放出し始めます。
11月中旬頃には、吸い込んだ水蒸気、ほぼ全てを放出。

12月、1月、2月の冬季には、木材に、放出できる水蒸気は残っていないと言われます。


夏季、一番水蒸気を吸い込んでほしい時期には、すでに限界値オーバーでパンパン。
冬季、一番水蒸気を放出してほしい時期には、すでにカラカラ・・・。

これが、無垢材の、水蒸気吸収放出サイクルと言われています。
水蒸気を吸い込んだり、吐き出したりするのは事実ですが、このサイクルでは意味がありませんよね。

この様な理由から、弊社では、機械的な除湿、加湿をしない限り、湿度コントロールは不可能だと判断しています。
もちろん、私たちの判断が正しいとは言い切れません。しかし、「夏、湿気を吸いこむ事で湿度を下げ、その湿気を、冬に吐き出すことで、湿度を高める」
と言った理屈は、春と秋が存在する事を考えると、私達には理解できませんでした。

これらの情報がお役に立てれば幸いです。