No.297の記事

冷却実験だけでは性能は分からないだろ!



「冷却実験だけでは性能は分からないだろう、加熱実験もしないと!」

とご意見をいただいたので、投光器による放射熱実験の動画も公開します。
保冷剤による冷却実験は、熱の伝わり方、伝導、対流、放射のうち、伝導実験にあたります。
断熱材は壁内部に置かれるので、対流は無視できるとして、残りの放射による熱の伝わり方が、今回の投光器による放射熱実験だと判断出来ます。

各断熱材を、200o×200o×100oの段ボール箱に入れて、上から投光器による放射熱で加熱する実験を行ないました。(冷却実験と同じ段ボールです)
放射後、断熱材内部の温度が、どのように変化するのか?を動画で記録。

まずこちらの動画は、グラスウール10kと、高性能グラスウール32kの比較です。
左側がグラスウール10k、右側が高性能グラスウール32kです。
加熱開始から3分後にグラスウール10kが30℃を突破。9分後にグラスウール32kが30℃を突破。
12分後、グラスウール10kが40℃を突破、20分後には50℃を突破しました。
32分後にグラスウール32kが40℃を突破、2時間20分後に50℃を突破しました。
5時間加熱した時点で、グラスウール10kは最高60.9℃まで上昇。グラスウール32kは、最高51.6℃まで上昇しました。

次の動画は、左がロックウール、右がセルロースファイバーです。
右側セルロースファイバーが、15分後に30℃を突破。
ほぼ同タイムの16分後に、左側ロックウールが30℃を突破。
35分後に、左側ロックウールが40℃を突破。
対するセルロースファイバーは、1時間39分後に40℃を突破。
5時間加熱した時点で、ロックウールは最高48.3℃まで上昇。
セルロースファイバーは最高45.2℃まで上昇。
両方とも、50℃を超えることはありませんでした。

次の動画は、左がスタイロフォーム、右がT型断熱材です。
まずスタイロフォームが12分後に30℃を突破しました。
同じくスタイロフォームが25分後に40℃を突破しました。
そして同じくスタイロフォームが49分後に50℃を突破しました。
対するT型断熱材は、1時間後に30℃を突破。そして2時間26分後に40℃を突破。
5時間加熱した時点で、スタイロフォームは最高55.5℃まで上昇。
T型断熱材は47.1℃まで上昇。50℃を超えることはありませんでした。

最後が、左側フェノールフォーム。
熱伝導率最低の、最も高性能と言われる部類の断熱材。
そして右側が、U型断熱材です。
フェノールフォームが23分後に30℃を突破。
44分後に40℃を突破。
1時間33分後に50℃を突破。
対するU型断熱材は、3時間10分後に30℃を突破。
5時間加熱した時点で、フェノールフォームは最高54.3℃まで上昇。
最も高性能と言われる断熱材ですが、放射に対しては案外普通・・・
U型断熱材は、最高34.1℃まで上昇。
35℃を超えることはありませんでした。

まとめます。
グラスウール10kは、1時間後に57.6℃まで上昇し、最大60.9℃まで上昇しました。
グラスウール32kは、1時間後に47℃まで上昇、最大51.7℃まで上昇しました。
ロックウールは、1時間後に46℃まで上昇、最大48.4℃まで上昇しました。
セルロースファイバーは、1時間後に37.6℃まで上昇、最大45.1℃まで上昇しました。
スタイロフォームは、1時間後に52℃まで上昇、最大55.4℃まで上昇しました。
T型断熱材は、1時間後に29.8℃まで上昇、最大47.1℃まで上昇しました。
断熱材最高峰、フェノールフォームは、1時間後に45℃まで上昇。最大54.2℃まで上昇しました。
そして、U型断熱材は、1時間後に24.6℃、最大34℃までしか上昇しませんでした。

今回の実験は、夏太陽光の影響を想定した実験です。
冬を想定した冷却実験でも、今回の投光器による加熱実験でも、T型U型断熱材は、他の断熱材を大きく引き離しました。

熱伝導率だけの値で比較すると、
1.フェノールフォーム
2.スタイロフォーム
3.グラスウール32k
4.セルロースファイバー
5.ロックウール
6.グラスウール10k
7.U型断熱材(けた違いに悪い)
8.T型断熱材(けた違いに悪い)
となります。

しかし、弊社が実験した測定値で並び替えると、
1.U型断熱材(断トツ)
2.T型断熱材
3.セルロースファイバー(以下ほぼ横ばい)
4.ロックウール
5.グラスウール32k
6.フェノールフォーム
7.スタイロフォーム
8.グラスウール10k(断トツに悪い)
となります。

弊社の実験が正しいとは限りません。
しかし、様々な想定を行ない、冷却実験、放射熱実験、そして、実際のモデルハウスデータを解析する限り、弊社実験データは正しいと判断しています。

ちなみに、東京モデルハウス無断熱材の家、小屋裏にU型断熱材を施工した後の今年5月25日データと同じ外気温度の、断熱材が無い、昨年5月30日の2階温度データがこちらです。
今年5月25日は、外気温度が30℃に達する中、2階温度は、25℃を超えていません。
対するU型断熱材を入れる前の昨年は、27.7℃まで上昇。
小屋裏にU型断熱材を入れただけで、これだけの効果をもたらすので、床下、壁、小屋裏に施工する九州モデルハウスでは、さらに大きな効果が得られるのでは?と、スタッフ一同期待しています。

これらの情報がこれから家を建てる皆様のお役に立てれば幸いです。