No.312の記事

T型U型断熱材を使ったAir断大阪モデルハウスの詳細




建築途中から、吉田は焦っていました。
壁にT型断熱材、天井と床にはU型断熱材を施工。
断熱実験棟のデータでは、他を圧倒する断熱性能!特にU型断熱材は別格でした。
「エアコンすら不要なのでは?」
そんな期待を持っていた吉田は、作業する職人さんの「暑い・・・」の声を聞いてガッカリ。
もちろん、本人もそれを感じていました。
2022年は「数年に1度の猛暑!」だった事を差し引いても、普通に暑い・・・

「壁はオールT型断熱材。どうなってる?
 天井と床には2型断熱材。あの他を圧倒する断熱性能はどこに行ったんだ?」

イライラが募る中で開催された構造見学会!
当然担当者から不満が噴出!

「まだ、Air断も動いてませんし、エアコンも付いてないので・・・」
必死の弁解も、言い訳にしか聞こえない。

1階も2階も、グラスウール断熱材を使った家と同じ温度。
加えて、湿度が高いエリアなので、余計暑さを感じる・・・。
「これなら、普通の断熱材と変わらねージャン、実験棟では別格の性能でも、実物ではこの程度って事かっ!」
スタッフが漏らした一言に、唇をかみしめた吉田でした・・・。

そして、7月上旬に通電!
Air断とエアコンが動き始め、Air断東京モデルハウス、Air断愛知モデルハウスとの比較検証が始まりました。
床下湿度98%、23g、沿岸部のAir断愛知モデルハウスよりも高い!
それが、3週間ほどで79%まで低下。
8月からは、Air断東京モデルハウス、Air断愛知モデルハウスと同じスケジュールでエアコンを動かし、温度推移を検証。
ただ、別格の断熱性能は、温度データには現れませんでした。
「この程度かっ」と言われたことに反論できない吉田。「やはり、この程度なのか・・・」

しかし、違いに気付いたのは、8月エアコン電気料金の比較時でした。
Air断モデルハウスでは、全てのエアコン電力消費量が記録されています。
Air断東京モデルハウス、Air断愛知モデルハウス、Air断大阪モデルハウスで、同じ温度、同じスケジュールでエアコンを動かす、
電力消費量比較検証では、常に大阪モデルの消費量が最低でした。

結果、Air断大阪モデルハウス8月1か月のエアコン電力消費量が106kwh、1kwh30円で計算しても、3,180円、断トツの安さ。
Air断東京モデルハウスは、6,402円、Air断愛知モデルハウスは8,970円!

この時吉田が思い出したのが、実験棟データ。
他を圧倒する温度推移。
しかし、この温度推移を平均すると、実はどれも変わらない。

つまり、どの断熱材も、熱が通り抜けているという事。

弊社がかねてから申し上げて来た「断熱材はどれも同じ・・・」を裏付けるデータです。

それでも、エアコン電力消費量に大きな違いが生じた理由。
断熱性能では文句なし断トツのAir断愛知モデルハウスが、一般的価格の8,970円。
天井にU型断熱材を施工したAir断東京モデルハウス改が、案外安いかも?と思える6,402円。
壁にT型、天井にU型を施工したAir断大阪モデルが、メチャ安い!と判断出来る3,180円。
この理由こそが、平均値ではなく、グラフそのものだったと考えています。
8月19日、スタイロフォームやグラスウール温度が45℃を超える暑い日でも、U型断熱材はMax32.9℃。

エアコンの電力消費量は、外気温度に左右されます。
外気温度が高ければ、電気使用量が跳ね上がる。
つまり、40℃を超える断熱材の場合、26℃にするには14℃下げなければならない。
この時エアコンはMax運転をしているはず。
しかし、32℃にしかならない2型断熱材の場合、26℃にするには、6℃下げるだけでいい。
つまり、他の断熱材の、半分以下のパワーで、室内を26℃に出来る。

これが、電力消費量を抑える、U型断熱材の効果!ではないだろうか?と考えました。

もちろん、これは憶測です。
たまたまそうなった!とも考えられます。
確証を得るには、冬季の検証が必要。

検証してご報告させていただきます。