断熱材性能テスト

フェノールフォームとジェル断の冷却対決!



断熱材の中で、最も熱伝導率が低い、フェノールフォームと
身近な物の中で、最も温まりにくく冷めにくい、比熱ダントツ、ジェル断との冷却対決。

それぞれ同じ大きさの中に、温度センサーを設置。
常温から、冷凍庫に投入し、氷点下までの時間を計測しました。

熱伝導率0.02フェノールフォームは、59分で氷点下に到達。
熱伝導率0.069、最も比熱が高いジェル断が氷点下に到達したのは、なんと、37時間20分後…。

一般的な断熱材は、“熱伝導率”を焦点にしています。
対して、“比熱”を焦点にしたのがジェル断。
フェノールフォームの容積比熱は43、対するジェル断の容積比熱は4186!まさに桁違い。
こちらは、様々な断熱材を2014年から計測中の実験棟データ。
その中でひと際異次元の温度推移を見せるのがジェル断…

すでに、Air断東京モデル、Air断大阪モデルの天井に施工して1年!
今のところ、耐久性に不安は見られません。
詳しくは、取り扱い工務店まで!

実験棟で、なにを計測してる?



実験棟で、なにを計測してる?

愛知実験棟では、2014年から、様々な断熱材を箱に入れて、それぞれ温湿度センサーを取り付け、24時間計測しています。

グラスウール、セルロースファイバー、ロックウール、スタイロフォーム、フェノールフォーム、キューワンボード、ありとあらゆる断熱材を、同じ条件下で計測。
30分毎に温湿度変化を記録して、性能を解析。
年度別にデータを精査して、経年変化も解析しています。

更には、地盤下にセンサーを埋め込み、1mから5mまで、土中温度の計測も行なっています。

遮熱断熱材が良い!と聞いたら、それを追加!

真空断熱ボトルの断熱性が良いと聞いたら、それを追加。

計測し、解析する事で、浮き彫りになる事実を、取引工務店に報告。
いい家を作る為のお手伝いになれば!と考えています。

冷却実験だけでは性能は分からないだろ!



「冷却実験だけでは性能は分からないだろう、加熱実験もしないと!」

とご意見をいただいたので、投光器による放射熱実験の動画も公開します。
保冷剤による冷却実験は、熱の伝わり方、伝導、対流、放射のうち、伝導実験にあたります。
断熱材は壁内部に置かれるので、対流は無視できるとして、残りの放射による熱の伝わり方が、今回の投光器による放射熱実験だと判断出来ます。

各断熱材を、200o×200o×100oの段ボール箱に入れて、上から投光器による放射熱で加熱する実験を行ないました。(冷却実験と同じ段ボールです)
放射後、断熱材内部の温度が、どのように変化するのか?を動画で記録。

まずこちらの動画は、グラスウール10kと、高性能グラスウール32kの比較です。
左側がグラスウール10k、右側が高性能グラスウール32kです。
加熱開始から3分後にグラスウール10kが30℃を突破。9分後にグラスウール32kが30℃を突破。
12分後、グラスウール10kが40℃を突破、20分後には50℃を突破しました。
32分後にグラスウール32kが40℃を突破、2時間20分後に50℃を突破しました。
5時間加熱した時点で、グラスウール10kは最高60.9℃まで上昇。グラスウール32kは、最高51.6℃まで上昇しました。

次の動画は、左がロックウール、右がセルロースファイバーです。
右側セルロースファイバーが、15分後に30℃を突破。
ほぼ同タイムの16分後に、左側ロックウールが30℃を突破。
35分後に、左側ロックウールが40℃を突破。
対するセルロースファイバーは、1時間39分後に40℃を突破。
5時間加熱した時点で、ロックウールは最高48.3℃まで上昇。
セルロースファイバーは最高45.2℃まで上昇。
両方とも、50℃を超えることはありませんでした。

次の動画は、左がスタイロフォーム、右がT型断熱材です。
まずスタイロフォームが12分後に30℃を突破しました。
同じくスタイロフォームが25分後に40℃を突破しました。
そして同じくスタイロフォームが49分後に50℃を突破しました。
対するT型断熱材は、1時間後に30℃を突破。そして2時間26分後に40℃を突破。
5時間加熱した時点で、スタイロフォームは最高55.5℃まで上昇。
T型断熱材は47.1℃まで上昇。50℃を超えることはありませんでした。

最後が、左側フェノールフォーム。
熱伝導率最低の、最も高性能と言われる部類の断熱材。
そして右側が、U型断熱材です。
フェノールフォームが23分後に30℃を突破。
44分後に40℃を突破。
1時間33分後に50℃を突破。
対するU型断熱材は、3時間10分後に30℃を突破。
5時間加熱した時点で、フェノールフォームは最高54.3℃まで上昇。
最も高性能と言われる断熱材ですが、放射に対しては案外普通・・・
U型断熱材は、最高34.1℃まで上昇。
35℃を超えることはありませんでした。

まとめます。
グラスウール10kは、1時間後に57.6℃まで上昇し、最大60.9℃まで上昇しました。
グラスウール32kは、1時間後に47℃まで上昇、最大51.7℃まで上昇しました。
ロックウールは、1時間後に46℃まで上昇、最大48.4℃まで上昇しました。
セルロースファイバーは、1時間後に37.6℃まで上昇、最大45.1℃まで上昇しました。
スタイロフォームは、1時間後に52℃まで上昇、最大55.4℃まで上昇しました。
T型断熱材は、1時間後に29.8℃まで上昇、最大47.1℃まで上昇しました。
断熱材最高峰、フェノールフォームは、1時間後に45℃まで上昇。最大54.2℃まで上昇しました。
そして、U型断熱材は、1時間後に24.6℃、最大34℃までしか上昇しませんでした。

今回の実験は、夏太陽光の影響を想定した実験です。
冬を想定した冷却実験でも、今回の投光器による加熱実験でも、T型U型断熱材は、他の断熱材を大きく引き離しました。

熱伝導率だけの値で比較すると、
1.フェノールフォーム
2.スタイロフォーム
3.グラスウール32k
4.セルロースファイバー
5.ロックウール
6.グラスウール10k
7.U型断熱材(けた違いに悪い)
8.T型断熱材(けた違いに悪い)
となります。

しかし、弊社が実験した測定値で並び替えると、
1.U型断熱材(断トツ)
2.T型断熱材
3.セルロースファイバー(以下ほぼ横ばい)
4.ロックウール
5.グラスウール32k
6.フェノールフォーム
7.スタイロフォーム
8.グラスウール10k(断トツに悪い)
となります。

弊社の実験が正しいとは限りません。
しかし、様々な想定を行ない、冷却実験、放射熱実験、そして、実際のモデルハウスデータを解析する限り、弊社実験データは正しいと判断しています。

ちなみに、東京モデルハウス無断熱材の家、小屋裏にU型断熱材を施工した後の今年5月25日データと同じ外気温度の、断熱材が無い、昨年5月30日の2階温度データがこちらです。
今年5月25日は、外気温度が30℃に達する中、2階温度は、25℃を超えていません。
対するU型断熱材を入れる前の昨年は、27.7℃まで上昇。
小屋裏にU型断熱材を入れただけで、これだけの効果をもたらすので、床下、壁、小屋裏に施工する九州モデルハウスでは、さらに大きな効果が得られるのでは?と、スタッフ一同期待しています。

これらの情報がこれから家を建てる皆様のお役に立てれば幸いです。

断熱材の遮音性について



「セルロースファイバーは、音が完全に消えると聞きましたが?」
「高性能グラスウールは、防音性が高いと聞きましたが?」

遮音性についてご質問がありました。
他のYouTubeで、セルロースファイバーを使用した騒音実験動画を確認しました。
確かに、「無音」になってますよね。

これを受け、弊社も騒音実験を行ないました。
各断熱材を段ボール箱に入れて、動画のように配置。6面全てが同じ断熱材で覆われています。

内部の空洞に、防犯センサーを入れて、同じ断熱材を入れた段ボールで蓋をします。
この時の騒音計の変化を記録しました。

まずは、グラスウール10kがこちら。
騒音計は73〜76㏈まで低下。

こちらは、グラスウール32k。
騒音計は65〜70㏈まで低下。

こちらは、スタイロフォーム。
騒音計は67〜70㏈まで低下。

こちらは、フェノールフォーム。
騒音計は71〜74㏈まで低下。

こちらは、セルロースファイバー。
騒音計は58〜62㏈まで低下。

最後に、U型断熱材。
騒音計は58〜62㏈まで低下。

セルロースファイバー、そしてU型断熱材が最も静かになりましたが、音が消えているわけではありません。

高性能グラスウールは、スタイロフォームと同等!それほど優秀とは言えない。

他の断熱材では、70〜74db程度。どれも似たり寄ったりだと感じました。

さらに、家の場合、サッシや開口部、吸気口などからの“音漏れ”もあるので、完全に音が消えるという事は無いと思います。
セルロースファイバーを施工した家の最終検査を行なった検査員も、決して無音では無かったと言います。

ただし、完全防音室を作りたい時や、1デシベルでも下げたい時にはセルロースファイバーは有効だと思います。


これらの情報がこれから家を建てる皆様のお役に立てれば幸いです。

「真空断熱材なら効果あるんじゃ?」



「真空断熱材なら効果あるんじゃ?」

「真空断熱材でも熱は伝わります・・・」

「真空断熱材をご存知ですか?
真空断熱ボトル”サーモス”は、24時間経っても冷めないそうです。真空断熱材を使えば、エアコンなど使用しなくても快適な家が出来るのではないでしょうか?」

ご質問がありました。
真空断熱材、存じ上げております。
高性能断熱材の熱伝導率が、0.02w/mkに対して、0.002w/mk
一桁違う、まさにけた違いの断熱性能を持つ断熱材です。

ただし、真空部分の熱伝導率です。
周辺、そして、表面からは熱が伝わります。
(真空断熱材の部分は熱を通さないが、それを包み込むステンレス部分は熱を素早く通す。これをCGで表現。)

真空断熱材”サーモス”も、真空でない部分から熱は伝わります。
こちらが、真空断熱材サーモスを、日の当たる場所に放置して、内部の温度変化を測定したグラフです。
(真空断熱材サーモスがベランダに置かれている状態を撮影して表示、グラフも表示)
薄茶色が真空断熱材サーモス内部の温度、青色が外気温度です。

8月25日がこちら・・・
外気温度の上下に連動して、真空断熱材サーモス内部温度も上下しています。決して真空断熱材サーモス内部温度が、外気温度の影響を受けていないわけではありません。ほぼ、リアルタイムに外気温度の影響を受けています。
8月26日がこちら・・・
8月27日は、最高温度が56.2℃を記録
そして翌日8月28日は最高温度57℃を達成。
真空断熱材と言えども、熱は伝わる事が見て取れると思います。

「24時間経ってもお湯が冷めない」

水は、身近な物質の中で最も熱しにくく冷めにくい物質です。
それが気密性の高い、真空断熱材のポット目一杯に入っていたら、熱が逃げにくいので、さらに冷めにくくなります。
家の場合、家の中にお湯をたっぷり入れるわけではありませんよね。
家の中にあるのは、空気です。
そして、空気は、身近な物質の中で最も熱しやすく冷めやすい物質です。

サーモスの様な、気密性能が極端に高いポットでも、内部が空気だったら、外気の影響を受けて温度が上下するのですから、気密性能が悪い家の場合、どれだけ高性能な真空断熱材を使用しても、効果は無いと判断します。

真空断熱材は、真空の部分は熱を通すことはありません。
しかし、それを取り囲む金属が熱を通します。
真空断熱材、蓄熱断熱材、高性能断熱材、どれも、素材で熱を遮断する仕組みですが、熱が消えてなくなるワケではなく、結局、熱は伝わります。
素材ではなく、対流で熱が流れる方向を変えるAir断が、現時点では最も断熱性能が高いと判断しています。

魔法瓶実験を追加!

「魔法瓶実験データが無いけど!」とご指摘を頂きました。
一定期間測定を終えたので、取りやめていましたが、アンコールを受け、
7月25日から再開しています。
今回は魔法瓶ではなく、写真の電気ポットで測定しています。
(電源は入っていません)
住宅検査 ホームリサーチ
魔法瓶実験を追加!


住宅検査 ホームリサーチ
魔法瓶実験を追加!


7月26日のデータでは、外気温度38℃時に、48℃まで上昇しています。
外気温度の低下と共に、電気ポット内部温度も急低下。
「断熱性能が高いポット」と書かれていましたが、以前の魔法瓶同様
あまり変化はありません。
1年間測定し、新型電気ポットや、高性能魔法瓶が出たら、交換して測定を続ける予定です。

「なぜ外気温度よりも、電気ポット内部温度が上昇するんだ?」
太陽光が直接照り付ける事で、電気ポット外側が50℃近くまで上昇します。
この太陽光の影響を受けて、内部温度も上昇していると推測しています。